コラム・連載・特集

アラームとアラート

2020/6/4

 武器を取れ―。そんな物騒なイタリア語が語源というから、よほど危うい状況を指すのだろう。英語の「アラーム」である。警報や警告を意味する言葉だ。胸ポケットの線量計が発した不気味なアラーム音を思い出す▲未曽有の事故を起こした福島第1原発を訪れた昨年12月のこと。一定量の放射線を浴びると鳴って、見えない危険を知らせてくれる。感謝すべき警報かもしれないが、同行者からも一斉に響き始めると、緊張が走った▲東京都がおととい出した「警戒」という意味の「アラート」も、やはりイタリア語の「見張りにつけ」が語源だ。アラームほど差し迫ってはいない時に使うせいか、緊迫感はいまひとつ▲横文字好きの都知事らしい言葉選びなのだろうが、東京アラートでは迫力がさらに薄れる。まるで新しいドラマか歌のよう。どれだけ深刻に受け止めてもらえるのか。夜の繁華街への警戒は呼び掛けたが、前ほど厳しい外出自粛までは求めなかった▲都内では、またも感染者が増えている。見えないウイルスが再び広がったのは緊急事態宣言が解かれていない2週間ほど前。今回のアラートで、気の緩みの広がりだけでも食い止められればいいのだが。

 あなたにおすすめの記事

  • 前の記事へ
  • 次の記事へ

天風録の最新記事
一覧