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【こちら編集局です】SNSでの攻撃<上>悪質投稿の被害、身近に 「テラハ」出演者急死、あらためて問題化

2020/6/4

 ▽匿名の闇 しつこい暴言

 フジテレビの人気番組「テラスハウス」に出演し、ネット上の非難に悩んでいたプロレスラー木村花さんが急死し、匿名で他人を攻撃する悪質な投稿があらためて問題になっている。国は加害者の特定を簡略化する制度改正をしようとしている。編集局が無料通信アプリLINEで体験を募ると、読者からも会員制交流サイト(SNS)での攻撃に傷つく声が寄せられた。身近でも深刻な被害が起きている。

 「本当に怖かった」。広島市安佐北区の高校生男子(17)は、中学2年の時の出来事をそう振り返った。

 釣果を伝える友人のLINEに「おいしそう」と書き込んだ時のこと。少ししてスマホが鳴った。自分のコメントに誰かが返信したらしい。画面を開き、目を疑った。「おまえがコメントすんなよ」「死ね」「消えろや」―。胸を突き刺すような言葉が並んでいた。

 相手が名乗るアカウント名に心当たりはない。自分のコメントはすぐ削除したが、今度は「逃げやがった(笑)」。数十件、攻撃が続いた。疑心暗鬼に陥り、学校に行くのも嫌になったという。「あれが何日も続いていたら、きっと心が折れていたと思う」

 他にも中高生の被害が目立つ。周南市の女性(45)は、子どもがSNSで匿名の攻撃を受けたという。「自分のことイケてると思ってんの?」「おまえの顔なんか見たくない。道歩くな。学校に来るな」…。目に余り、学校に相談すると複数の投稿者が特定され、嫌がらせがやんだという。

 一方、東広島市の女性(69)は「教師に相談したが無駄だった。孫は複数人にSNSであれこれ書かれ、悩んだ末に高校を自主退学した」。わが子の痛々しい体験を明かした保護者もいた。勝手に撮られた動画を流され不登校になったり、話したこともない生徒から悪口を送りつけられて体調を崩したり。「立派な犯罪だ」と怒りをあらわにする投稿もあった。

 大人の世界も例外ではない。総務省の違法・有害情報相談センターに寄せられた相談は2019年度、5198件に上った。10年度の約4倍に当たる。

 岩国市の音楽講師加藤季絵(ときえ)さん(42)は半年前、実名で公開しているツイッターを荒らされた。ある政治家の発言にコメントしたのがきっかけ。匿名の投稿が相次ぎ、「頭おかしい」「こんな親に育てられる子どもがかわいそう」と暴言を浴びせられた。仕事の都合でネット上に電話番号を載せていたからか、非通知の無言電話もかかってきたという。

 「匿名だから自由な発言ができる面もあるけれど、匿名であるが故の攻撃性は本当に恐ろしい。こちらは防御のしようがない」と加藤さん。どうすれば被害を減らせるのだろう。(田中美千子)

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