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≪新型コロナ≫NPOの苦境 地域ぐるみで支えよう

2020/6/14

 新型コロナウイルスの影響で、非営利組織(NPO)がかつてない苦境に立たされている。感染拡大防止のため、事業の縮小や活動の自粛を余儀なくされている。

 事業収入が途絶え、委託金や補助金、寄付なども落ち込んでいる。もともと財政基盤の弱い団体が多く、運営や活動の継続さえ危ぶまれる事態だ。

 NPOの多くは、福祉や子育て、環境などといったさまざまな地域課題と向き合い、行政の手が届きにくい公的なサービスを提供している。

 NPOの支えを頼みにしている人は多く、このまま活動停止に追い込まれれば、地域社会にほころびが生じるケースも出かねない。国や自治体の支援は急務と言えよう。

 共同通信が5〜6月に47都道府県の担当者に尋ねた調査によると、6割強に当たる31都道府県に、地元のNPO法人などから資金支援など要望が寄せられていた。

 中国地方では、広島、山口、岡山、島根4県に要望書が提出されていた。多くが事業継続や職員の雇用が困難になりつつある現状を訴えている。新型コロナの感染拡大がNPOの運営に深刻な影響をもたらしていることをあらためて裏付けた形だ。

 休業要請に応じた事業者への協力金では、広島、山口がNPOを対象としている。ただ、細かな支援情報は個々のNPOまで届いていないとの指摘もある。情報提供のさらなる充実が自治体側には求められる。

 持続化給付金は、遅れてNPOも対象に含まれることになったが、事業収入の減少が条件となっており、NPOの主な資金源となる寄付や補助金は認められていない。

 事業収入の少ない、規模の小さなNPOは給付を受けられない可能性もある。政府は給付要件を柔軟に見直す必要がある。

 NPOが重視しているのは「顔の見える関係づくり」である。コロナ禍でイベントや講演会などの中止が相次ぎ、支援が必要な人と顔を合わせる機会も激減している。

 子どもや高齢者、障害者を対象にした人とのつながりが欠かせない活動ほど感染リスクが高く、ひときわダメージを受けているように映る。

 事業の継続が難しくなることによって、活動への意欲を失ってしまわないか気掛かりだ。

 子どもたちに無料や低額で食事を提供している「子ども食堂」などは、それぞれの地域でセーフティーネットの役割を担っている。もっと手厚い公的な支援が必要だ。

 コロナ禍に伴う経済活動の停滞が長引けば、企業倒産や失業者の増加は避けられまい。生活困窮者や住まいを失う人もでてくる。これまで以上に市民目線で支援活動に当たるNPOの役割は重みを増すはずだ。

 政府は、NPO法人などへの休眠預金を活用した助成金について、緊急対応として数十億円規模を積み増す方針を決めた。ここでも必要な団体に、迅速に支援を届けるスピードが問われることになる。

 感染防止のために出されていた緊急事態宣言の解除を受け、NPOも活動を再開しつつある。行政はもちろん地域ぐるみでNPOの活動を支え、コロナ禍を克服しなければならない。 

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