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レジ袋有料化 脱プラへ見直しの時だ

2020/6/30

 あす7月1日から、レジ袋の有料化が国内すべての小売店で義務付けられる。

 クジラやウミガメなどの死骸の胃袋から、レジ袋の見つかるケースが近年相次ぎ、環境破壊のシンボルとされてきた。レジ袋を含む廃プラスチックが海に流れ込む量は、世界全体で毎年800万トンに及ぶ。

 そんな共通の認識と危機感があったからこそ、昨年6月に大阪市であった20カ国・地域(G20)首脳会議でも合意したのである。2050年までに廃プラの海洋放出をゼロにする―と。

 レジ袋にとどまることなく、私たちの生活とプラスチックの接点を見直し、使用総量の削減を急ぐ必要がある。

 プラ削減の対策で出遅れた日本にとって、レジ袋有料化の7月開始は巻き返しの好機だった。本来、東京五輪・パラリンピックで世界の注目が集まるタイミングだったからである。

 折あしく、コロナ禍による大会延期で当てが外れた上、使い捨てにできるレジ袋は衛生面で見直されている。用済みマスクをレジ袋に封じて捨てるのは感染防止にかなっており、そう勧める自治体もあるという。

 短期的にみれば、コロナのあおりでレジ袋の削減ペースは、当初の想定より鈍るかもしれない。とはいえ本来の目標まで見失ってはなるまい。

 というのも、国内で使われるレジ袋はプラ製品全体の約2%にすぎない。ペットボトルの比率の方が、よほど大きい。

 環境省は、レジ袋の有料化はプラごみ問題を考えるきっかけで、「一人一人のライフスタイルの変革」こそが大切だとうたう。大量生産、大量消費、そして大量廃棄の戦後社会と切っても切れない「使い捨て文化」の見直しも指すのだろう。

 プラについては、内分泌かく乱作用を疑われる化学物質としての側面も忘れるわけにはいかない。世界保健機関(WHO)は12年、発達期に内分泌かく乱物質に暴露すると生殖機能の低下や免疫障害などのリスクが上がると警告している。

 30年までに国連が達成をめざす「持続可能な開発目標(SDGs)」で、プラ問題は「作る責任、使う責任」「海の豊かさを守ろう」の目標に関わる。深刻な海洋汚染を引き起こしつつあるマイクロプラでも、世界の視線は様変わりした。

 目を国内に転じれば、廃プラが処理できぬまま大量に積み上がっている。引き受けてくれていたアジア諸国がここ数年の間に、相手側の事情から輸入禁止に転じたためだ。

 さらに身の回りを見渡せば、ペットボトルやカップめんの容器、ラップといったプラ製品があふれている。私たち消費者は生活様式を見直し、「使い捨て」に便利なプラ製品との付き合い方を改めるときだろう。

 買い物の時点から「処分する時は、どうする」と考える癖をつけておくのもいい。プラ製品が含む化学物質の成分表示を、製造者の側に義務付ける必要もあるのではないか。

 コロナ対策を急ぐ医療現場を考えれば、なくてはならぬプラ製品もあるのは間違いない。代替可能なものはないか。慎重に見極めつつ、家庭や職場で使うプラ全体の減量を進めていく。さほど残り時間がないことも忘れるわけにいかない。

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