コラム・連載・特集

コンビニは音で満ちている

2020/7/1

 「コンビニエンスストアは、音で満ちている」で始まる。村田沙耶香(さやか)さんの芥川賞受賞作「コンビニ人間」。来客を告げるピンポン、飲料を庫内から取り出した後のカラカラ、バーコードのピッ。数々の音に店員恵子の体は反応していく▲小銭を鳴らすのは新聞やたばこをさっと買って帰りたい人だ。作業中の陳列棚から素早くレジに移って待つ。胸ポケットに手を入れるしぐさは電子マネーかな。恵子は常に先回りし、お客をいら立たせない。だが現実のコンビニには、新たな手間が▲小売店のレジ袋が有料になる。手ぶらの来店が多いコンビニでは、お客の希望を聞くことになりそうだ▲有料レジ袋なら店の仕事になる。だがマイバッグならお客が品物を詰めるか、店員が代わるか、そのスペースはあるか。店の事情が違えば、まずは戸惑うだろう。「プラスチック使い捨て」を正す大目標に異存はなくても、現場の人たちはピリピリしてきょうを迎えたかもしれず▲国連機関は日本が推奨する「バイオプラ」など代替レジ袋もよしとせず、袋は繰り返し使おうという。マイバッグにコロナ感染を危惧する意見もある。先回りして手近なレジ袋を折り畳み、懐に忍ばせる。

  • 前の記事へ
  • 次の記事へ

 あなたにおすすめの記事

天風録の最新記事
一覧