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【ヒロシマの空白 被爆75年】犠牲814人の遺族探して 広島市、全国に名簿発送

2020/7/2
原爆供養塔の納骨名簿の発送作業をする市職員(広島市役所)

原爆供養塔の納骨名簿の発送作業をする市職員(広島市役所)

 被爆75年の原爆の日を前に広島市は2日、平和記念公園(中区)の原爆供養塔に納められた遺骨のうち、名前が分かりながら遺族に引き取られていない814人分の名簿を、全国の自治体など1970カ所に発送した。うち1人については中国新聞の取材をきっかけに、遺族へ返還する調整が進んでいる。市は15日から10月末まで名簿を各地で掲示してもらい、さらなる情報を募る。

 名簿はB1判とB2判があり、手掛かりとなる死亡時の年齢や住所が記されている人もいる。この日は市職員2人が市役所で、名簿を封筒に詰める発送作業をした。全国の送付先とは別に、JR広島駅(南区)など市内で掲示してくれる192カ所にも送った。

 市は1968年に名簿を公開し、85年以降は毎年全国に送っている。公開以降に846人の遺骨を引き渡したが、2017年11月を最後に返還はなかった。

 今回、返還へ調整が進んでいるのは「鍛治山はる(皆実町三丁目)」さん。中国新聞の取材を機に、同じ住所に住んでいて被爆後に遺骨が見つかっていない梶山ハルさんのひ孫、梶山修治さん(55)=広島県府中町=が今年1月、市に「曽祖母ではないか」と申し出た。市は裏付け調査を終えており、遺族の最終的な意思を確認した上で返還する方針としている。

 原爆供養塔の地下納骨室に眠る遺骨は「約7万体」とされ、ほとんどは名前が分かっていない。市原爆被害対策部調査課の上本慎治課長補佐は「1人でも多くの遺骨を遺族の元にお返しできるよう、情報提供を呼び掛けたい」と話している。(水川恭輔、山本祐司)


<各シリーズの初回リスト>

埋もれた名前<1>「一家全滅」 70年余公的記録なし

帰れぬ遺骨<1>「梶山ハル」さん 祈念館の遺影、糸口に

さまよう資料<1>米軍返還資料 標本に急性症状の痕跡

国の責任を問う<1>給付金の「線引き」 「遺族も被爆」が条件

つなぐ責務<1>市民の手で 75年経て肉親記載へ


被爆前の本通り写真など200枚 広島県内7施設「消えた街」保存

ウェブサイト<ヒロシマの空白>

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