【こちら編集局です】新型コロナ再拡大、今夏の帰省どうする リスク回避へ「自粛」多数
▽「Go To」に批判も
新型コロナウイルスの感染が再拡大する中、お盆の帰省はどうしますか―。編集局が無料通信アプリLINE(ライン)で意見を募ると、150件を超える声が寄せられた。多数を占めたのが、感染リスク回避のための「自粛」の決断。その一方、観光支援事業「Go To トラベル」を進める政府に「なぜ今」など批判も目立った。
「弔う気持ちがあればどこでも、と言い聞かせていますが、もどかしい」。今春、就職で広島を離れた福岡県のエンジニア女性(23)は、悲痛な思いをラインにつづった。6月に亡くなった祖母の初盆だが、帰省を断念した。鹿児島への帰省を控える三次市の60代パート女性は「1人暮らしをする父の様子を見に、年1回は帰るようにしていたのに」と落胆する。
帰省する側だけでなく、迎える側も寂しさが募る。広島市佐伯区の女性(78)は、東京で暮らす長女一家が盆に帰ってこない。「楽しみにしていたのに本当にショック。顔を見て孫の話を聞きたかった」
車のナンバープレートで居住地が分かるため、我慢するという声も少なくなかった。安佐北区の女性(57)は「見つかったら何を言われるか分かんない。自粛警察もいる」。南区の主婦は「近所の目が気になると、大阪の家族は帰省をやめました」と打ち明ける。
帰省しない理由には「介護施設の方針を受けて」との声もあった。東広島市の70代主婦の夫が通うデイサービス施設には「東京の人と接触したら2週間利用できない」というルールがある。主婦は「娘に泣く泣く帰省を諦めてもらった」。福山市の50代自営業女性も義父がデイサービスに通えなくなるため、神奈川の娘が帰れないという。
帰省について、中国地方知事会は3日、慎重に考えるよう5県の県民に呼び掛けるメッセージを出した。政府も近く専門家の意見を踏まえて方針を示すという。しかし、観光を促すGoTo事業は続いている。山口県の50代主婦は「こちらは広島への帰省を諦めて寂しい気持ちでいっぱいなのに、税金で観光推進するのは納得がいかない」と腹立ちを隠せない。
自粛が目立つ中、対策を取りながら帰省するという声も寄せられた。東広島市の40代パート女性は「義理の親が初期の認知症と診断された。しっかりしているうちに孫に会わせたい」と帰る理由をつづる。
対応を決めかねている人もいる。広島県外に就職したばかりの娘がいる西区の自営業女性(55)は「『みんな(家族)に会いたい』と連絡が来る。新しい環境で1人で頑張っている娘のメンタルも心配。頭を抱えています」と吐露した。(小林可奈)
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