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相次いで届く謎の種子

2020/8/5

 「甲子園の土」といえば熱闘の代名詞だろう。だが10日に開幕する高校野球交流試合では、持ち帰りを遠慮してほしいそうだ。土に罪はない。コロナ対策で試合後は速やかにベンチを消毒したい、という高野連のお達しである▲本土復帰前の沖縄で、甲子園の土が海に捨てられた無念を連想する人がいるかもしれない。土に病害虫が潜む恐れがあるとした当時のお役所の弁は「石ころや砂利なら構いません」。同情した大阪の女性が甲子園の砂利を贈ると発奮した逸話も残る▲「水際」で土や植物のやりとりに目を光らせる仕事は健在だ。しかし注文もしない種子が国際郵便で相次いで届く最近の「事件」は前例があるまい▲多くは差出人の名もなければ、相手国の検疫済み印もなく、伝票の類いもない。中国の深〓(しんせん)から送ったと偽装したのか、紙を剥がすと別の国の名が出てきたとも報じられて奇々怪々。日本のお役所は「植えたり開けたりしないで」と呼び掛けている▲通販サイトの詐欺の一種だとの説もある。流出した他人の住所に、何でもない物を送り付け注文件数や評価を水増しする―。種子に罪はないとも思えるが、まずは植物防疫所や消費者窓口へ、ご一報を。

  【お断り】〓は「土へん」に「川」を書きますが、JISコードにないため表示できません。


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