「原爆の日」特集

被爆75年、核廃絶へ「連帯」を 広島・平和記念式典、禁止条約批准を政府へ訴え

2020ヒロシマ2020/8/6 8:52
慰霊碑に手を合わせる参拝者(6日午前5時45分、撮影・安部 慶彦)

慰霊碑に手を合わせる参拝者(6日午前5時45分、撮影・安部 慶彦)

 米国による原爆投下から75年を迎えた6日、広島市は平和記念公園(中区)で原爆死没者慰霊式・平和祈念式(平和記念式典)を営んだ。松井一実市長は平和宣言で、核兵器廃絶や平和の実現には市民の「連帯」が必要と強調。日本政府に対し、核兵器禁止条約に署名・批准するよう明確に迫った。被爆後に降った「黒い雨」の援護対象となる区域については、「政治判断」での拡大を要求した。

 宣言では「75年間は草木も生えぬ」とされた広島が復興を遂げたことを「先人が互いを思いやり、連帯して苦難に立ち向かった成果だ」と強調した。広島には、核兵器廃絶と世界恒久平和の実現に向けた連帯を「市民社会の総意」としていく責務があると説いた。

 約100年前のスペイン風邪の流行にも言及した。第一次世界大戦中で敵対した国家間の連帯がかなわず、数千万人の死者を出したと指摘。世界的な感染拡大が続く新型コロナウイルスの脅威に、自国第一主義ではなく、連帯して立ち向かおうと呼び掛けた。

 核兵器禁止条約を巡っては、署名・批准を求める被爆者の思いを誠実に受け止めて締約国となるよう、日本政府へ明確に迫った。昨年は「被爆者の思い」として求めるにとどめていた。

 「黒い雨」では「降雨地域の拡大に向けた政治判断を、改めて強く求める」と主張した。区域外で雨に遭い、健康被害を訴える原告84人全員に被爆者健康手帳の交付を命じた7月29日の広島地裁判決を踏まえた。放射線による苦しみを抱える多くの人々に寄り添った支援策の充実も説いた。

 式典は午前8時に始まった。松井市長と遺族代表2人が、この1年間に死亡が確認された4943人の名前を記した原爆死没者名簿を原爆慰霊碑に納めた。名簿は119冊、計32万4129人となった。

 原爆投下時刻の午前8時15分、遺族代表の松木俊伸(まつき・としのぶ)さん(46)=南区、こども代表の畑賀小6年竹宮未菜海(たけみや・みなみ)さん(11)=安芸区=が「平和の鐘」を突き、全員で黙とう。矢野南小6年大森駿佑(おおもり・しゅんすけ)君(12)=安芸区=と安北小6年長倉菜摘(ながくら・なつみ)さん(12)=安佐南区=が「平和への誓い」を読み上げた。

 被爆者や政府関係者、各国大使たち参列者は、新型コロナの感染予防のため、過去最少の805人となった。参列を断念した国連のグテレス事務総長はビデオメッセージで「核兵器の危険を完全に排除する唯一の方法は、核兵器を廃絶すること」などと強調した。(久保田剛)

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