「原爆の日」特集

被爆者、国の姿勢問う 首相出席の「被爆者代表から要望を聞く会」【動画】

2020ヒロシマ2020/8/6 23:31
コロナ対策の透明なパネル越しに被爆者団体の代表たちと向き合う安倍首相(左から3人目)

コロナ対策の透明なパネル越しに被爆者団体の代表たちと向き合う安倍首相(左から3人目)

 安倍晋三首相が出席する広島市主催の「被爆者代表から要望を聞く会」が6日、中区のホテルであった。二つの広島県被団協など6団体の代表は「黒い雨」の援護対象区域の拡大や核兵器禁止条約の署名・批准を訴えたが、被爆75年の節目にも政府側から前向きな回答はなかった。

 「黒い雨」を巡っては、援護対象区域外で雨に遭い、健康被害を訴える県内の原告84人全員を被爆者と認めた7月の広島地裁判決を受け、安倍首相の発言が注目された。被爆者団体は、区域拡大や、広島県・市による控訴断念を国が容認するよう求めた。

 対して口を開いたのは政治決断を担う安倍首相ではなく、加藤勝信厚生労働相だった。被爆者援護について「放射線と健康被害に関する科学的知見に基づいてやってきた」と従来方針の説明に終始。区域拡大には言及しなかった。地裁判決に関しても「真摯(しんし)に受け止め、県、市、関係省庁とよく協議し対応を決めたい」と述べるにとどめた。

 「私たちに希望を」「核保有国に同調しないでほしい」と、被爆者団体の代表者たちは核兵器禁止条約の署名・批准を訴えた。安倍首相は締めくくりのあいさつで「アプローチは異なるが、目指す核廃絶のゴールはわが国も共有している」と強調。一方で「核軍縮を巡る国家間の立場の隔たりは拡大している」とも述べ、条約参加に否定的な姿勢を崩さなかった。

 新型コロナウイルス対策でテーブル上を透明パネルで仕切った異例の会。原爆症認定基準の見直しや被爆2世への援護、在外被爆者の救済、原発の再稼働反対など出席者の訴えは多岐にわたったが、議論はかみ合わず、約40分で閉じた。

 県被団協(坪井直理事長)の箕牧(みまき)智之理事長代行(78)は、安倍首相自身が会や平和記念式典で「黒い雨」訴訟に触れなかった点を「非常に残念だ」。もう一つの県被団協の佐久間邦彦理事長(75)も「首相は核兵器廃絶へやる気があるのか」と疑問を呈した。(下久保聖司、和多正憲、松本真由子)

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