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「三矢の訓」ゆかりの地巡り

2020/8/8

 バブル崩壊後の平成には、安くて、近場で、日程の短い旅が好まれた。安近短―。令和にはコロナ禍で「疎」や「外」が加わるかもしれない。人が疎(まば)らで風通しのよい野外なら3密を防げる▲広島県の公式観光サイトに、おあつらえ向きのコースが並ぶ。毛利元就「三矢(さんし)の訓(おしえ)」ゆかりの地を巡る旅も、その一つ。戦国の世に中国路で覇をとなえた毛利氏に、3本の矢に例えられた3兄弟がいた。安芸高田市と三原市、北広島町に史跡が残る▲安芸高田には元就の居城だった郡山城跡、三原には三男小早川隆景の築いた三原城跡。国史跡の双方を軸に、一時は3市町で日本遺産を目指す。連携協定の式には首長が武将姿で臨んだ。両市では今、選挙カーが走り、ときの声ならぬ声をからしている▲前法相夫妻を巡る参院選買収事件のあおりだ。両市の前市長が「辞職ドミノ」に連なり、責任を取って辞任した。北広島町でも町議会議長が議員を辞める▲人は石垣、人は城、信頼の礎は何よりも、うそをつかないこと。3市町への旅路が将来、そんな「訓」の伝わる観光になるなら、災いを転じて福となすのだが。両市長選はあす投開票を迎える。勝ちどきを上げるのは、さて。 

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