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不協和音のある自由

2020/8/14

 香港の民主派活動家、周庭さんが警察に拘束されながら、翌日には保釈となった。「なぜ逮捕されたのか分からない」。それが香港国家安全維持法の正体だろう。中国共産党の胸三寸なのに、どこが法に触れたかと疑心暗鬼に人をさいなむ▲創業者が捕まった香港紙「リンゴ日報」には、200人もの捜査員が令状を示さず踏み込んだ。法治も何もありはしない。周さんは手が後ろに回った姿までさらされていた。中国が手を回した、公然たるいじめである▲周さんは拘束されても、へこたれない。日本語に堪能で、人気アイドルグループ「欅坂(けやきざか)46」の曲「不協和音」の歌詞を思い出したという。大きな声に流されず、違うと思えば不協和音を奏でようとも沈黙しない―。今の苦境とぴったり重なる▲遅ればせながら今回初めて、曲を耳にした。動画投稿サイトで繰り返し聞きながら、歌詞をノートに写す。ふと気付けば、再生回数が跳ね上がっている。同志かもと思えて何やら心強い▲手元の辞書は【不協和音】を〈仲間内の調和を乱す行動〉とする。そうだろうか。香港の社会が教えてくれている。多様な声がせめぎ合う不協和音こそ、自由と民主主義には不可欠だと。

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