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【月刊E・8月号】誰が橋を渡るというのか

2020/8/17 7:00

 原爆慰霊碑を見つめながら、汗をふきふき、平和宣言に耳を傾ける。8月6日の「原爆の日」はここ10年ほど、広島市中区の平和記念公園で、米国による原爆投下時刻を迎えてきた。

 勤め先の中国新聞社も公園のすぐ西隣にある。だが、本社内で迎えた今年の8・6は、例年とは随分、勝手が違った。

 すぐ間近で起きている出来事なのに、どうにも身に入らない感じ、と言えば分かってもらえるだろうか。テレビ画面に向き合い、市の平和記念式典の生中継を真剣に見るのだが、映像も音声も体を素通りするようで、ちっとも響いてこない。

 時折、われに返り、はっとする場面はあった。例えば、国連のグテレス事務総長が式典に寄せたビデオメッセージ。「最初の総会決議が採択されて以来、国連は核兵器を完全に廃絶する必要性を認識していた」と述べたのである。

 わが不明を恥じつつ調べてみると、確かに国連は設立翌年の1946年に最初の総会を英ロンドンで開き、その決議第1号はまさに「原子力エネルギーの発見によって引き起こされた問題を扱う委員会の設置」を求めていた。
(ここまで 451文字/記事全文 1601文字)

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  • 広島市の平和記念式典にビデオメッセージで「参列」した国連のグテレス事務総長(撮影・荒木肇)
  • 米国が広島に原爆を投下した午前8時15分、市の式典で黙とうをささげる各国代表たち。この後の平和宣言や安倍首相のあいさつはどう心に響いただろう(撮影・荒木肇)
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