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広島市中区千田町エリア<下>

2020/8/23 20:58
路面電車のオブジェが目を引く「ひろでん まめっこ保育園」(撮影・川村奈菜)

路面電車のオブジェが目を引く「ひろでん まめっこ保育園」(撮影・川村奈菜)

 ▽保育園から電車ひょっこり 広電施設

 保育園の2階から電車が飛び出した―。広島電鉄の企業内保育施設「ひろでん まめっこ保育園」(東千田町2丁目)の外壁には、ひときわ目を引く路面電車のオブジェがある。同社ならではの校舎は園児の自慢だ。電車が散歩に出掛ける園児たちを見守っているかのようだ。

 電車が車庫から顔をのぞかせたイメージで造られたオブジェは、高さ、幅各2・6メートルと本物の電車とほぼ同じサイズ。現存する被爆電車「652号」の正面部分をモデルにし、前照灯などは本物を再利用した。運転席部分は出窓になっている。

 同園は2018年4月に開園。同社とグループ会社の従業員たちの子ども21人が通う。年少の山本蓮ちゃん(3)は「格好良い電車が保育園で見られてうれしい。大きくなったら運転士になりたいな」。

 同社は1912年の電車開業以来、東千田町に本社を置き、地域とともに歴史を刻んできた。オブジェのある同園2階は、地域交流スペースとして子ども会行事や同社のイベントに活用している。同社人事部は「これからも地域と交流を深め、『電車の保育園』として愛される園にしたい」と力を込める。

 ▽7段剣士、心込め手縫い 武道具製作所営む松尾さん

 ビルや住宅が並ぶ一角に「武道具」の看板を掲げた建物があった。松尾武道具製作所(千田町2丁目)。広島県内でも珍しい剣道具製作店で、1909年創業の老舗だ。店舗が手狭になり昨年11月、南竹屋町から現在地に移転した。

 店に入ると同製作所会長の松尾厚弘さん(73)が迎えてくれた。「面や胴などの分厚い生地を手で縫うには気持ちが入っていないと難しいんですよ」。この道40年の職人であり、7段の剣士でもある。県剣道連盟副会長を務める。

 地元の千田剣道クラブなどで子どもを指導する。「癖を見抜いてきちんと教えてくれる。厳しいけど優しい」。クラブで指導を受ける安田小3年栗川梓乃(しの)さん(9)は笑顔を見せる。

 「剣道は勝ち負けだけじゃない。負けて学ぶことがたくさんある。長く続けてほしい」と松尾さん。子どもたちを見詰めるまなざしは温かい。(城戸昭夫)

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  • 子どもを指導する松尾さん(左)

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