【こちら編集局です】首相へのねぎらいと批判交錯 中国地方有権者受け止め
長期政権を築いた安倍晋三首相の突然の幕引きを、中国地方の有権者はどう受け止めたのだろう。編集局が28日、無料通信アプリLINE(ライン)で問い掛けると、ねぎらいと非難の声が交錯した。「政治とカネ」や「政治の私物化」の問題を挙げ、「うやむやにするのは許されない」と批判する意見も目立った。
▽体を休めて/疑惑が闇に
広島市佐伯区の男性(64)は「体をゆっくり休めてもらいたい」といたわった。安倍首相と同じ潰瘍性大腸炎を患い、つらさが分かるという。「国政の混乱を回避するため、苦渋の決断をしたのだろう」
安佐北区の女性(77)は「首相は批判されても褒められない。新型コロナウイルス、東京五輪の延期などに対応し、大変なストレスだったと思う」。西区の50代公務員男性は「世界のリーダーと対等に渡り合ってきた。株価が前政権から倍以上になった」と外交や経済政策を評価した。
「何も語らずに逃げ出すのか」―。そんな痛烈な批判もあった。福山市のパート女性(50)は、昨年7月の参院選広島選挙区を巡る大規模買収事件について「広島県民にとって最大の汚点。裁判中の辞任は無責任」と憤る。
前法相河井克行被告(衆院広島3区)の妻案里被告(参院広島)の擁立、支援には政権中枢や自民党幹部が関わったとされ、党本部は河井夫妻側に計1億5千万円の資金を提供した。呉市の男性(59)も「任命責任を取らず、党本部主導で巨額の金がばらまかれたことへの説明もない。このまま闇に葬るのは許されない」。
森友・加計学園問題や「桜を見る会」の私物化疑惑が解明されていないことへの不満も根強い。安佐南区の男性(85)は「数々の疑惑・不祥事は、長期政権のおごりや首相周辺の忖度(そんたく)が温床になった。遅すぎる退陣だ」と指摘。益田市の男性(69)は「『お友達』の優遇が目に余る。がっかりの連続だった」と振り返った。
新型コロナ対策では評価が分かれた。広島市南区の看護師女性(36)は、観光支援事業「Go To トラベル」を巡る政府内のちぐはぐぶりに「みんなが振り回されている」と批判。一方で、全国民に一律10万円を配る特別定額給付金を評価する声もあった。
次期首相に何を託すのか。安芸高田市の50代事務員女性は「清廉潔白で誠実な政治を」と求める。広島市南区の税理士男性(50)は「コロナで困っている国民の救済を急いで」。宇部市の50代男性は「消費税減税の実現を」と訴えた。
呉市の主婦(71)は「改憲を強行しないでほしい」。佐伯区の主婦(52)は「米国の顔色ばかりうかがわず、核兵器廃絶を求める被爆国日本の立場を主張してほしい」と願った。
今後、後継レースに注目が集まる。岸田文雄政調会長や石破茂元幹事長、河野太郎防衛相らの名前を挙げる人も。呉市の公務員男性(66)は「次期政権は、厳しい国際情勢や相次ぐ災害など大変な政治状況の中での船出となる。危機管理能力にたけたリーダーを望む」と強調した。(田中美千子、ラン暁雨)
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