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【激震 前法相夫妻公判】1億5000万円「載せると違反」 事務所スタッフ、克行被告の懸念証言

2020/9/9 23:05
河井克行被告(左)と案里被告

河井克行被告(左)と案里被告

 昨年7月の参院選広島選挙区の大規模買収事件で、公選法違反罪に問われた前法相の河井克行被告(57)=衆院広島3区=と妻の案里被告(46)=参院広島=の第7回公判が9日、東京地裁であった。案里被告の選挙事務所で会計担当をしていた女性スタッフが検察側の証人として出廷。自民党が両被告側に提供した1億5千万円について、「元秘書が『全て選挙費用の報告書に載せると違反になる。(克行被告も)気にしている』と話していた」と語った。

 8月25日に始まった公判で、1億5千万円に関する証言が出たのは初めて。広島県選管に提出した選挙運動費用の収支報告書の収入が事実よりも少なく記載されているとも証言した。

 女性スタッフによると、前法相の政策秘書だった高谷真介被告(44)=別の同罪で公判中=が収支報告書に全額を記載すれば違法になると指摘。「(克行被告が支部長を務める)第3(選挙区)支部と(案里被告が支部長の)第7(選挙区)支部に振り分けて」と指示してきたという。

 女性スタッフは収入の全額を記載せずに収支報告書を作成し、昨年8月3日、広島市安佐南区の事務所で克行被告に報告。克行被告は了承したという。案里被告は同席しておらず、「お金に関することは克行代議士に決定権があった。三つの口座の出入金を毎日報告するよう指示を受けていた」と明かした。

 参院選後、県選管に提出された収支報告書では収入が2405万円と記載されている。

 1億5千万円は、参院選前の昨年4〜6月に自民党本部から河井夫妻側に送金。同じ自民党候補で、競り合っていた溝手顕正氏への提供額の10倍に当たる。税金で賄われる政党交付金や党費が原資になっていたが、提供の経緯や使途の詳細について党本部から十分な説明はなされていない。

 また、東京地裁はこの日、両被告から3回にわたり計200万円を受け取ったとされる元県議会議長の奥原信也県議をはじめ、「被買収者」とされる地方議員や元首長ら計19人の証人採用を決定。16日から10月7日にかけて順次、証人尋問をしていく。克行被告の弁護側は9日、地裁に保釈を請求した。請求は4回目。

 起訴状によると、克行被告は昨年3〜8月、案里被告を当選させる目的で100人に計2901万円を渡したほか、うち5人については案里被告と共謀した疑い。両被告は現金提供の事実をおおむね認める一方で、買収の意図を否定し無罪を主張している。

【詳報・第7回公判】
会計担当スタッフ証言<1>会計は克行代議士に決定権
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