【激震 前法相夫妻公判】克行被告、全弁護人を解任 「百日裁判」の審理遅れも
▽案里被告の日程、予定通り
昨年7月の参院選広島選挙区の大規模買収事件で公選法違反罪に問われた前法相の河井克行被告(57)=衆院広島3区=が15日、弁護人6人全員を解任した。迅速に審理する「百日裁判」として東京地裁で審理が始まっているが、日程が過密として不満を募らせていたという。関係者によると、公判は予定より1カ月以上遅れる可能性がある。克行被告とともに起訴されている妻の案里被告(46)=参院広島=の公判は当面予定通り開かれるという。
克行被告は、案里被告を当選させるために地方議員ら100人に計2901万円を渡したとして起訴され、案里被告と同じ法廷で審理されてきた。16日からは「被買収者」の証人尋問が始まり、初日は両被告から計200万円を受領したとされる元広島県議会議長の奥原信也県議が出廷する予定。関係者によると、案里被告の公判は審理を続ける見通しという。
克行被告の弁護人によると、15日の公判後に東京地裁の接見室で克行被告が「申し訳ないが、全員解任させてもらう」と淡々とした様子で通告。解任理由は述べなかった。
弁護人は報道陣の取材に「(克行被告は)審理日程の見直しや4回の保釈請求が認められず、弁護人と打ち合わせが十分にできない葛藤があった。新しい弁護人の下で審理日程を設定したいのだろう」と話した。
両被告の公判は8月25日に始まり、検察側は被買収側の100人を含めた139人の証人尋問を申請。12月18日まで週3、4日のペースで計55回の日程が組まれ、判決は来年にずれ込むとみられている。両被告は現金提供の事実をおおむね認める一方で、買収の意図を否定し無罪を主張。克行被告側は週2回ペースでの公判を求めていたが、地裁が認めなかったという。
新たな弁護人を選任し、準備が整うまで公判が中断するとみられる。検察幹部は「期日が大幅にずれ込むのは避けられそうにない」と説明。東京地裁は15日夕、「現時点では16日の期日は維持されている」と回答した。
神戸学院大の上脇博之(ひろし)教授(憲法学)は「弁護士が変われば日程変更が認められるわけではないし、今回の解任は不自然。翌日から被買収側の議員の証人尋問が始まるタイミングでもあり、時間稼ぎと臆測されても仕方ない」と話している。
<クリック>百日裁判 公選法は選挙の効力や政治家の公民権に関わる訴訟について、早期に結果を確定させるため、当選が無効になる連座制適用の可能性がある場合、起訴から100日以内に一審判決を出すよう努めると規定する。昨夏の参院選広島選挙区の大規模買収事件について検察当局は克行被告は選挙運動の総括主宰者、案里被告は候補者本人として、連座制の適用対象に当たると判断。一方、克行被告側は「選挙運動全般を掌握、統括しておらず、総括主宰者には該当しない」と反論している。
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