「被買収」議員「法廷で真実話したい」 日程変更? 戸惑い・憤り
昨年7月の参院選広島選挙区を巡る大規模買収事件の公判は16日、公選法違反罪に問われた河井案里被告(46)=参院広島=から現金を受け取ったとされる「被買収者」の証人尋問が始まり、出廷を控える広島県内の政治家たちは「法廷で真実を話したい」と身構えた。ただ、元法相の夫克行被告(57)=衆院広島3区=が弁護人6人全員を解任した影響で、多くは時期がずれ込む可能性が高い。「どこまで振り回されるのか」との戸惑いや憤りも出る。
元県議会議長の奥原信也県議(呉市)は16日、検察側が被買収者とする計100人の中で、初めて法廷で証言した。17日は下原康充県議(東広島市)が出廷する。下原県議は中国新聞の取材に、昨年春の県議選中に事務所を訪れた案里被告から50万円を受け取ったと認めており、この日は「法廷で事実関係を粛々と述べたい」と胸中を明かした。
両被告が参院選前後に現金を配った疑いのある計100人のうち、市町長や地方議員(一部は就任前)たち政治家は40人を占める。このうち両県議を含む5人には、案里被告本人や事務所スタッフが渡したとされる。5人は10月上旬にかけて順次、出廷する予定だ。
残る35人は、克行被告1人から現金を受け取ったと検察側から指摘されている。今月23日の小坂真治・前安芸太田町長から続々と証人尋問に臨む予定だったが、全弁護人の解任で克行被告の審理が止まり、後任が決まるまで公判は再開されない見通し。日程の再調整は必至の状況だ。
10月前半に証言する予定だったある県議は「公判で真実を包み隠さず話すために準備してきたのだが、肩透かしをくらった」。出廷後、支援者に詳しく説明する場を設ける考えだったが、日程が変わると後援会への説明予定も大幅に狂うとみる。「克行被告は現金を渡すのもまさに一方的だった。どこまで振り回されるのか」と憤った。
被買収の議員13人が在籍する広島市議会は今月25日まで定例会のまっただ中にある。同じく13人いる県議会も18日から10月6日まで定例会を予定する。議員たちは議会日程を踏まえて検察側と出廷日を調整したが、克行被告の公判日程次第では次の12月の定例会に食い込む可能性がある。
ある広島市議は、現時点では検察側から出廷予定を変更するとの連絡はないという。「質問に適切に答えて説明責任を果たしたいが、法廷はどのような雰囲気か分からず、きちんと証言できるか不安もある」と率直な心境を明かした。(樋口浩二、新山創)
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