【激震 前法相夫妻公判】奥原県議「大罪犯した」 案里被告と目合わせず
「違法な金を受け取った。心からおわび申し上げます」。昨年7月の参院選広島選挙区の大規模買収事件で「被買収者」の証人尋問が始まった16日、計200万円を受領した広島県議会の重鎮、奥原信也県議(77)=呉市=はうなだれた様子で謝罪した。時折かすれ声になりながらも現金授受の様子をありありと語り、買収目的と認識した上で受け取ったと証言した。
県議会議長や自民党県連幹事長を歴任した奥原県議は黒のスーツに黄色のネクタイ姿。ゆっくりとした足取りで入廷し、案里被告とは一度も目を合わせなかった。真実を述べると宣誓した後、検察側の主尋問へ。検察官が、元法相の河井克行被告(57)=衆院広島3区=と案里被告(46)=参院広島=からの現金授受の経緯をただした。
奥原県議は、案里被告が立候補を予定していた参院選前の昨年4〜6月に計3回、両被告が奥原県議の事務所を訪ねてきて、帰り際に現金が入った白い封筒を置いて帰られたと説明。「案里議員を応援してほしいから出してきたと思った。票を集めてほしいのだと思った」と述べた。
いずれも両被告から領収書を求められなかったとし「表に出せない金、裏金だと思った」と語った。受け取った理由を聞かれた際には、初めて身ぶり手ぶりを交えて語気を強め「政治家がお金を返すということは選挙(の応援)をしないと思われるので、受け取ることにした」と繰り返した。
主尋問の終盤に今回の事件の受け止めを問われると「公選法の問題を起こすことになり、政治家にとってはあってはならない。深く反省するとともに心からおわび申し上げたい」と強調し、裁判長に向かって頭を下げた。被告人席に座る案里被告はその様子をじっと見つめていた。
続いて反対尋問に立った案里被告の弁護人が「県政のために尽力されてきた。違法な買収と分かって受け取ったのか」と尋ねると、奥原県議は「はい」と返答。「当時は(違法ということを)深く考えていませんでした。大変な罪を犯したと反省している」と再び頭を下げた。今後、処罰があり得るとの認識を示す一方、「議員の職にとどまって差し支えないという考えか」との問いには「そういうことは申し上げられません」と述べた。
2時間余りにわたった証人尋問。退廷時、奥原県議は裁判長に一礼したが、案里被告とは最後まで目を合わせようとしなかった。(中川雅晴)
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