【激震 元法相夫妻公判】議長経験3人「買収」証言 克行被告に辞職求める
昨年7月の参院選広島選挙区の大規模買収事件で公選法違反罪に問われた河井案里被告(47)=参院広島=の第13回公判が24日、東京地裁であった。広島県安芸太田町議会の前議長矢立孝彦町議(67)ら議長経験者3人が出廷。案里被告の夫克行被告(57)=衆院広島3区=からそれぞれ20万円を受け取ったと認め、買収目的の違法な金だったと述べた。被告に辞職やけじめを求める発言も続いた。
矢立町議によると、議長だった昨年3月23日、克行被告が町内の自宅を訪れ、案里被告への応援を依頼。「活動の足しに」と20万円入りの白封筒を机の上に置いた。受け取りを拒否したが、克行被告は「大丈夫」と置いて帰ったという。
現金の趣旨について「私の家族や周辺の1票を働き掛けるお金」と証言。お金で動く人間のようにばかにされたと思い、封筒に「河井置き逃げ」と殴り書きして保管したとし「本当に屈辱的」と語気を強めた。
現金を返さなかった理由は「国の制度、予算が小さな町の生き死に左右する命綱。瞬間湯沸かし器のような代議士で、機嫌を損ねると町に仕返しをされると思った」と強調。国道の改良や災害復旧などの事業が遅れる可能性を懸念したという。今月17日の議長辞職は「混乱へのけじめ」とし「両被告には、しかるべきけじめの判断をしてほしいと強く思う」と述べた。
続いて尋問された安芸高田市議会の前議長先川和幸元市議(73)は、議長だった昨年3月27日に議長室で20万円が入った白封筒を渡されたと証言。参院選に向けた「集票力の要請」と思い拒否したが、克行被告は「まあまあ。急ぐから」と置いて帰ったという。
返却したかったが、市政への影響を懸念したとも主張。返す機会もなく、20万円は自身で使ったという。7月の議員辞職の理由については「市民に政治不信という迷惑を掛け、けじめということ」と語った。
最後に証言台に向かった廿日市市議会の元議長仁井田和之市議(74)は、昨年4月14日に自宅へ来た克行被告から20万円入りの白封筒を「名刺代わりに」と渡されたと説明。「受け取ってはいけないが、受け取らないと市の予算で嫌がらせがあるのではないかと思った」と述べた。数日後に克行被告の広島市内の事務所で返したと説明。「克行被告は説明責任を果たし辞職してほしい」と訴えた。
【公判詳報】
矢立安芸太田町議証言<1>地元の情勢が大変厳しいのではないか
矢立安芸太田町議証言<2>頭にきて「河井置き逃げ◎」とメモした
矢立安芸太田町議証言<3>瞬間湯沸かし器のような代議士。神経をすり減らしていた
矢立安芸太田町議証言<4>両被告にはけじめをつける判断をしてほしい
先川元安芸高田市議証言<1>「かわいいあんり」を頼むと
先川元安芸高田市議証言<2>白い封筒を出された瞬間、ノックがあって…
先川元安芸高田市議証言<3>安倍総理大臣が応援されていると思った
仁井田廿日市市議証言<1>受け取らないと嫌がらせがあるのではないか
仁井田廿日市市議証言<2>(克行被告には)説明責任を果たし、辞職してほしい
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