コラム・連載・特集

衣の下のよろい

2020/10/3 6:41

 あれれ、打ち破るのは確か、あしき前例のはずでは―。「学者の国会」と呼ばれる日本学術会議が新会員候補として挙げた推薦リストから、菅義偉首相が6人だけ外していた。学問の自由を脅かす禁じ手であり、横紙破りだろう▲それでいて、外す理由を明らかにしなかった。「いったい何がまずかったのだろう」と本人はおろか、周りにも裏読みを誘う。同調圧力の空気を高め、真綿で首を締める手かもしれない▲つまりは「いじめ」の構図である。いじめた側の問題点や責任は委細構わず、うやむやにする。それどころか、いじめられる側にも非があるかのように追い込む▲自民党の杉田水脈(みお)衆院議員(比例中国)の例の発言も、どこか通じていよう。「女性は、いくらでもうそをつけますから」。こちらは「パワハラ」の構図であり、性暴力の被害を訴えようとする女性たちの出足をくじく。自民党はなぜ、口頭注意くらいでお茶を濁したのだろうか▲菅首相・総裁の船出から2週間余り。「地方出身のたたき上げ」と世間の評判は悪くなかった。ここにきて、衣の下のよろいが少々気になる。人心はどう受け止めるだろう。秋の空は七度半変わる、との例えもある。

  • 前の記事へ

 あなたにおすすめの記事

天風録の最新記事
一覧