コラム・連載・特集

【激震 元法相夫妻公判】克行被告の公判めど立たず 「百日裁判」審理中に弁護人解任 再開は年明けの見方も

2020/10/4 22:49

 昨年7月の参院選広島選挙区の大規模買収事件で、公選法違反罪に問われた河井克行被告(57)=衆院広島3区=の審理が大幅に遅れる見通しになっている。週3、4回ペースで続く公判に不満を持つ克行被告が弁護人を解任。後任が決まっていないとみられ、再開のめどが立たないからだ。選挙の効力に関わるため、起訴から100日以内に判決を出すよう努める「百日裁判」として審理されてきたが、再開は年明けになるとの見方さえ出ている。

 克行被告は、妻の案里被告(47)=参院広島=を当選させる目的で地方議員や後援会員ら100人に計2901万円を渡したとして、案里被告とともに起訴された。案里被告と同じ法廷で8月25日に審理が始まったが、「被買収者」の証人尋問が始まる前日の9月15日に突如、弁護人6人全員を解任した。

 元弁護人によると、克行被告は証人尋問が過密で十分な準備をする時間がないと不満を募らせていたという。新たな弁護人は決まっていないとみられる。

 刑事訴訟法は、法定刑の上限が懲役または禁錮3年を超える事件を審理する場合、弁護人がいなければ公判を開けないと規定。克行被告の事件も該当する。

 克行被告の裁判は、被買収者が100人に上る異例の巨額買収事件。克行被告が無罪を主張し、検察当局が作成した被買収者らの供述調書の証拠採用に反対。検察側が法廷で証言してもらうために139人の証人採用を申請し、12月18日までに55回という過密日程が決まった経緯がある。

 新たな弁護人が決まっても、克行被告が同様の主張をする場合、弁護人は膨大な証拠資料を読み込んだ上で検察、裁判所との事前協議で期日を決める必要がある。関係者によると、公判再開は早くても年明けになり、判決は来春以降にずれ込む可能性が高いという。

 検察幹部は「公判の引き延ばしをしているだけだ」と冷ややか。別の幹部は「過密な公判日程に対応できる弁護人を見つけるのはたやすくない」とみる。

 一方で、克行被告は逮捕、起訴後も辞職しておらず、東京拘置所で勾留中の今も衆院議員であり続けている。東京・永田町の衆院議員会館にある克行被告の事務所は存続し、月額103万5200円の歳費と月100万円の文書通信交通滞在費が支払われている。公設秘書の月給も含め、国費で賄われている。裁判が進む案里被告も同様だ。

 参院選前に克行被告から現金を受け取り、検察当局の任意聴取に事実を認めた後援会員の一人は「自責の念にさいなまれ、眠れない夜も多い。克行被告は多くの人を巻き込んだ責任をどう考えているのか」と憤る。(中川雅晴、境信重)

 <クリック>百日裁判 公選法は選挙の効力や政治家の公民権に関わる訴訟の結果を早く確定させるため、当選が無効になる連座制適用の可能性がある場合、起訴から100日以内に一審判決を出すよう努めると規定する。昨夏の参院選広島選挙区の大規模買収事件では、検察当局が克行被告は選挙運動の総括主宰者、案里被告は候補者本人として、連座制の適用対象に当たるとしている。一方、克行被告側は「選挙運動全般を掌握、統括しておらず、総括主宰者には該当しない」と反論している。

【関連記事】

【特集】河井夫妻買収事件公判

弁護士解任で河井夫妻の公判分離 克行被告の審理は当面中断

克行被告、全弁護人を解任 「百日裁判」の審理遅れも


  • 前の記事へ
  • 次の記事へ

 あなたにおすすめの記事

河井夫妻買収事件公判の最新記事
一覧