コラム・連載・特集

「大変です。助けて」「安佐南で票出んと」 河井夫妻事件公判、克行被告の音声再生

2020/10/13 23:21

 昨年7月の参院選広島選挙区の大規模買収事件で公選法違反罪に問われた河井案里被告(47)=参院広島=の第18回公判が13日、東京地裁であった。自民党の海徳裕志広島市議(60)=安佐南区=が、案里被告の夫で元法相の克行被告(57)=衆院広島3区=から2回にわたり計50万円を受け取り、2回目の会話を録音したと証言。検察側はその音声を法廷で再生した。現金授受の場面を録音したとされる音声の証拠が、両被告の公判で示されたのは初めて。

 海徳市議は検察側の証人として出廷し、安佐南区にある自身の事務所で克行被告から昨年3月下旬に30万円、同6月1日に20万円を渡されたと説明。いずれも票の取りまとめなどを求める買収目的の現金だったと認め、1回目に30万円を渡された際には「これ総理から」と言われたと語った。2回目の現金授受の際は警戒し、ICレコーダーで会話を録音したと述べた。

 検察側が法廷で再生した音声によると、克行被告が「大変ですよ。(自民党広島)県連が何もやってくれないから、助けてくださいよ」「やっぱり安佐南で票が出んとね」などと参院選に立候補する案里被告への支援を要請。「河井克行は嫌いかもしれないけど、案里はかわいがって」などと親しそうに話していた。帰り際には「これ、気持ちですから」と言い、海徳市議は「はい」と返答。海徳市議によると、20万円が入った封筒を渡されたという。

 参院選は、自民党県連の主流派が推す現職の溝手顕正氏と、党本部が後押しする案里被告による党分裂選挙となり、案里被告が初当選し、溝手氏が落選した。

 起訴状によると、案里被告は克行被告と共謀して地方議員5人に計170万円を渡したとされる。海徳市議はこの5人に含まれていないが、検察当局は録音された音声が立証に必要だと主張し、地裁も認めた。

 続いて、東京地裁と広島地裁をモニターでつないでやりとりするビデオリンク方式での証人尋問を実施。自民党の高山博州広島県議(67)=尾道市=が広島地裁の一室で尋問に臨み、克行被告から昨年4月20日に30万円を受け取ったと認めた。同5月24日に尾道市にある高山県議の事務所を訪れた案里被告に返却しようとしたが、断られたと述べた。

 両被告の公判でのビデオリンクによる尋問は初めて。コロナ禍が続く中、今後の証人尋問で利用が広がる見通しだ。

【案里被告第18回公判関連記事】
克行被告「総理から」 海徳広島市議、現金違法と認識
30万円の返却拒まれる 高山県議証言、初のビデオリンク

【詳報・案里被告第18回公判】(10月13日)
海徳広島市議証言<1>「これ総理から」と渡された
海徳広島市議証言<2>どう喝される可能性あるので第三者呼んだ
海徳広島市議証言<3>知人に声掛け案里被告囲む会開いた
海徳広島市議証言<4>無理難題を言われる可能性あるので録音した
海徳広島市議証言<5>(レコーダー文字おこし)正確性に間違いない
再生された主な音声「案里はかわいがってくださいよ」
高山県議証言<1>知事選で(案里被告)応援した
高山県議証言<2>「もらう筋合いない」と押し返した
高山県議証言<3>(案里被告が)「人格違うから受け取れません」
高山県議証言<4>弁護士の名前で書留で返した
高山県議証言<5>(案里被告とは)窮屈に考える仲じゃないので
高山県議証言<6>「頼むから持って帰ってください」と頼んだ

  • 前の記事へ
  • 次の記事へ

 あなたにおすすめの記事

河井夫妻買収事件公判の最新記事
一覧