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職業作曲家

2020/10/14 5:56

 「自分の好きな音楽ではなく、ヒット曲を作るのが使命」。そんな思いから職業作曲家と自ら称していた。「また逢う日まで」や「魅せられて」をはじめ、心に残る歌謡曲を送り出してきた筒美京平さんである。おととい訃報が届いた▲シングル曲の売上枚数は7560万枚にも上り、作曲家では歴代トップを占める。「すごくいいナー」「やったナー」と思うと必ず筒美さんの曲で、そしていつも口ずさんでいる―。広島市出身の吉田拓郎さんがそう褒めたたえたのも、うなずける▲ただ、拓郎さんの出現に脅威を感じたそうだ。シンガー・ソングライターの曲作りの自由さに、自らにはない新たな潮流を感じていたのだろうか▲その時々に流行した音楽を積極的に取り入れて、親しみやすいメロディーと、洋楽風の華やかなアレンジに磨きを掛ける。まさに職人技と言えよう。駆け抜けた1970、80年代は日本経済も右肩上がり。歌謡曲を含めて列島は黄金期を迎えていた▲当時は作詞家や作曲家、編曲家、売り手が一体となってチームワークで強さを発揮していたという。そんな昭和を懐かしみつつ思い出の曲を聴き、筒美さんをしのびたい。たとえ何日掛かっても。

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