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弔意「あれ、どうした?」

2020/10/17 7:04

 勤め人が上司や先輩に問われて震え上がるせりふの代表格か。「あれ、どうなってる?」。「あれ」って何だっけ。すぐに察知できないと、言い訳もできないぞ▲その点、行革担当相の河野太郎氏は目端が利く。菅義偉首相から「あれ、どうなってる?」と聞かれて「いやいや、まだ1週間しかたってません」とかわしたという。あるいは、それくらい首相がせっかちだと記者会見で例えただけかもしれないが▲こちらは誰かせっついたのだろう、1週間もなかった。中曽根康弘元首相のきょうの合同葬に合わせ、文部科学省が国立大などに弔意を求めた13日付の文書である▲半旗や弔旗、黙とうについて「よろしく、お取り計らいください」「参考までにお知らせします」とある。強制ではない、自主的に判断されたい―と政府高官は注釈を付けているが、額面通りに受け取れるか。その筋が「あれ、どうした?」と、後で確かめてこないとも限らない▲吾(われ)のみの弔旗を胸に畑を打つ(佐藤鬼房=おにふさ)。兵隊だった俳人は亡き戦友への弔いを胸に、戦後を生きたのだろう。どれほど高名な人の死であれ、弔意は人それぞれでいい。ここも学者先生たちの踏ん張りどころである。

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