コラム・連載・特集

コロナ民間検証 重い指摘、政策に生かせ

2020/10/19

 「場当たり的な判断の積み重ねだった」。新型コロナウイルスを巡る政府の対応に、厳しい評価が下された。

 独立系シンクタンクの設けた新型コロナ対応・民間臨時調査会(コロナ民間臨調)による施策の検証結果である。最初に感染者を確認した1月半ばからの半年間を報告書にまとめた。

 唐突だった全国一斉の休校要請や、税金の無駄遣いと批判された「アベノマスク」などを考えると、うなずけよう。

 政府は、法的強制力や罰則を伴わない休業要請中心の感染拡大防止策と、経済ダメージ抑制の両立を目指した。そんな「日本モデル」の「力を示した」と緊急事態宣言を解除した5月の会見で安倍晋三首相は胸を張った。確かに死亡率や経済への打撃は欧米より抑えられていた。

 しかし内実は試行錯誤の連続で、施策も戦略的に練られていなかった。「泥縄だったけど、結果オーライだった」。報告書に載った官邸スタッフの本音が実態を表している。喜んではいられない。

 たまたま今回は何とかしのいだ。しかし次は…。そんな不安が拭い去れない。政府は、検証結果を重く受け止め、政策に生かさなければならない。自ら検証することも必要である。

 3月からの全国一斉休校は学校現場を混乱させた。反対意見を押し切って実施したため、給食や学童保育の対応が間に合わず、子どもだけではなく、保護者にもしわ寄せが及んだ。

 肝心の効果にも疑問符が付く。感染症の専門家によれば「疫学的にはほとんど意味がなかった」。子どもが感染源になることはあまりないからだ。

 アベノマスクについては、厚生労働省や経済産業省との事前調整なしに「総理室の一部が突っ走った。失敗だった」。そう官邸スタッフが漏らす始末だ。

 なぜ、こうなったのか。

 11年前の新型インフルエンザの教訓を政府が生かしてこなかったからだろう。当時、厚労省は新たな感染症に備え、さまざまな場合を想定して万全の対策を講じるよう、専門家会議から指摘されていた。

 学校封鎖や水際作戦などでは複数の選択肢を用意し状況に応じて、どの対策を講じるか、柔軟に決める▽国立感染症研究所や地方の保健所をはじめ専門組織や人員を拡充する―などだ。

 ところが、感染研や保健所の予算と人員を年々減らすなど、危機管理体制を強化するどころか弱体化させた。PCR検査の拡大が「目詰まり」を起こしたのも政策の過ちが一因と言えよう。猛省する必要がある。

 今回、「デジタル敗戦」と酷評された政府のお粗末な実態も明らかになった。一律10万円の給付金や、感染者データの全国集計でデジタル化の遅れが混乱を招いた。改善が急がれる。

 決定プロセスと結果を検証できるような議事録を残すことも、民間臨調は課題として挙げている。場当たり的な施策を繰り返さないよう、政府は肝に銘じなければならない。

 新型コロナ特別措置法の改正も提言している。休業要請に応じやすいよう、経済的補償や罰則などの検討が欠かせないというのだ。国民の命や健康を守り、生活基盤を支えるためである。来週にも始まる臨時国会で議論を深めるべきである。

  • 前の記事へ
  • 次の記事へ

 あなたにおすすめの記事

社説の最新記事
一覧