タイの収入3分法
2020/10/20 6:37
作家開高健氏のエッセーに教わったタイのことわざの一つに「収入の3分法」がある。3分の1をそれぞれ水に流す、大地に戻す、敵にくれてやる、というもの▲私事ながら結婚した際に「水に流すとは酒を飲めという意味だ」と妻を言いくるめ、月給の3分の1をわが小遣いに。しかし妻もさる者。「敵にくれてやるとは家族にお金を渡せですよね」と、子どもが増えるにつれ小遣いは4分の1、5分の1に▲そのタイで4年前に就任したワチラロンコン国王は、一体どれだけの水を流しているのだろう。野党指導者によると、なぜか航空機とヘリコプターを計38機も持ち、来年度の王室予算はおととしの倍、300億円近くという。普段は遠くドイツの別荘やホテルに暮らしている▲久しぶりに帰国していわく「この国には国と王室を愛する人が必要だ」。首都バンコクで若者たちが今、王室改革を求めてデモを繰り返す。70年にわたるプミポン前国王の時代には見られなかった光景で、息子として思うところは多々あるのだろう▲ちなみに収入の3分の1を大地に戻すとは、お金をつぼに入れて地中に隠す、つまりは貯蓄を指す。将来世代を大切に、という教えらしい。
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