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エネルギー基本計画 「再生」拡大の道筋示せ

2020/10/21

 経済産業省はエネルギー基本計画の見直し議論を始めた。中長期のエネルギー政策の方針について、ほぼ3年ごとに内容を検討しており、見直しは東京電力福島第1原発事故以降で3回目。来年中にも、2030年度の電源構成の目標数値を修正した計画をまとめる。

 政府が先送りしてきた課題は多い。再生可能エネルギー拡大の道筋をどう描くか。地球温暖化対策の「脱炭素」をどう進めるか。国民の不安感が根強い原発をいつまで「重要なベースロード電源」と位置付けるか。しっかり向き合う必要がある。

 今の基本計画は18年7月に閣議決定された。30年度の電源構成について、石炭や液化天然ガス(LNG)など火力全体で56%程度、再生エネルギーは22〜24%程度、原発は20〜22%程度としてきた。

 実績は18年度で火力が77・0%、再生エネルギーが16・9%、原発は6・2%で、目標との乖離(かいり)が目立つ。とりわけ原発。達成には30基程度の再稼働が必要だが、今は9基にすぎない。福島の事故を受けて安全対策費がかさみ、「安い」というメリットも失われた。再稼働が進まないのも無理はあるまい。

 原発ゼロを望む国民の多さを考えると、そもそも達成不可能な目標だったのではないか。依存度の引き下げが進む国際社会の潮流にも逆行している。

 とはいえ、火力発電への過度の依存は温暖化対策に反している。政府は今夏、旧式で非効率な設備を30年度までに段階的に休廃止する方針を打ち出した。旧式の9割近い100基前後が対象になる見込みという。

 高効率の一部は存続させるつもりのようだ。ならば、技術革新による温室ガス削減効果や、国全体の長期的な削減計画を示して、国際社会の理解を得ることが大前提となろう。

 脱炭素を進めるためにも、再生エネルギーの大幅拡大が必要だ。イタリアやスペインなど全発電量の3割を上回る国もあり、日本は後れを取っている。

 発電量が天候に左右されるほか、ドイツなどに比べコスト低減も進んでいない。政府はこうした課題の解決や、期待が膨らんでいる洋上風力などの普及に積極的に取り組むべきだ。

 政府の意識は経済界より遅れているようだ。経済同友会は今年7月、30年の再生エネルギーの比率を40%まで引き上げるよう政府に提言した。太陽光・風力で30%、水力や地熱などで10%と具体的だ。欧州各国にも引けを取らない高い目標である。

 実現させるため、政府による明確な意思表示と政策誘導、積極的で継続的な民間投資の必要性を強調している。

 そんな条件がそろえば、国民の意識変革や行動変容がさらに進み、道筋も見えてこよう。エネルギー自給率の引き上げや、温暖化対策の国際公約達成にもつながるはずだ。新たな基本計画で、再生エネルギーの拡大へと大きくかじを切れるか、政府の姿勢が問われている。

 私たちは、風水害や地震が頻発する災害列島に住んでいることも忘れてはならない。甚大な被害が懸念される南海トラフ巨大地震や首都直下地震が、30年以内に70%前後の確率で起きると予測されている。災害に備えて、小規模分散型発電の可能性も各地域で考えておきたい。

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