【激震 元法相夫妻公判】克行被告が弁護人を選任、公判再開へ 5人中4人は再任、疑問の声も
昨年7月の参院選広島選挙区の大規模買収事件で、公選法違反罪に問われた元法相の河井克行被告(57)=衆院広島3区=が新たに弁護人を選任したことが21日、関係者への取材で分かった。克行被告は1カ月余り前に6人の弁護人を全員解任し、公判が中断している。新たな弁護団は5人となる見込みで、うち4人は解任された弁護士が再び選任されたという。
【特集】河井夫妻買収事件公判
克行被告の判決次第で、妻案里被告(47)=参院広島=が連座制で失職する可能性があり、「百日裁判」として迅速な審理が求められている。弁護人の解任で審理に遅れが出ている一方で、同じ弁護士を再任した克行被告の対応には専門家から疑問の声が出ている。検察側は公判再開を急ぐ構えだ。
関係者によると、克行被告は解任した6人のうち、主任弁護人だった1人を含む4人を再任。新たに選任した1人が主任弁護人を務める方針で、5人の弁護団になる方向という。弁護側が主張を変えないことを選任条件にしていたといい、引き続き無罪を主張するとみられる。弁護団を結成後、検察側、東京地裁と審議日程などを協議した上で公判が再開される。
両被告の公判は百日裁判として週3、4回の日程が組まれ、8月25日に始まった。同じ法廷で審理されていたが、過密日程などに不満を募らせていた克行被告が9月15日に弁護人を解任。弁護人なしでは公判を開けないため、東京地裁は翌16日に両被告の公判を分離し、案里被告の審理を先行して進めている。
神戸学院大の上脇博之(ひろし)教授(憲法学)は「解任した弁護士を再任した克行被告の対応は、時間稼ぎと受け取られても仕方ない。どういう理由で再任したのか、政治家としての説明責任がある。弁護人を通じてでも説明すべきだ」と話している。
克行被告は、22、23、28日にある案里被告の公判に証人として出廷する。
<クリック>百日裁判 公選法は選挙の効力や政治家の公民権に関わる訴訟の結果を迅速に確定させるため、当選が無効になる連座制適用の可能性がある場合、起訴から100日以内に一審判決を出すよう努めると規定する。昨夏の参院選広島選挙区の大規模買収事件では、検察当局が克行被告は選挙運動の総括主宰者、案里被告は候補者本人として、連座制の適用対象に当たるとしている。克行被告側は「選挙運動全般を掌握、統括しておらず、総括主宰者には該当しない」と反論している。
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