コラム・連載・特集

流出したら、まずいもの

2020/10/22 6:31

 「流出したらまずいものを消したい」とやたら焦っていたらしい。公選法に絡む疑惑の報道で法相の職を辞して3日後の河井克行被告である。パソコンから「買収リスト」を削除するように、ネット業者が頼まれたという▲大規模買収事件を巡る妻案里被告の公判で読み上げられた供述調書にあった。夫妻同時に進められていた裁判は、克行被告が弁護人6人を全員解任したことで切り離しに。工作を疑われる本人の姿は、法廷になかった▲もともと味覚について用いられる「まずい」だが、語源は「貧しい」らしい。不足しているさまを表すのが転じ、「都合が悪い」や「拙い」といった意味でも使われるようになった▲こちらも何か、まずいことでもあるのだろうか。日本学術会議の問題で、6人の任命を拒んだ菅義偉首相の説明が進まず、らちが明かない。周りの方が右往左往する―。どこか元法相と重なって見えてくるから不思議▲弁護人を克行被告が選び直し、公判が再開されることになった。新弁護団のうち4人は再任という。何がまずかったのか、釈然としない。きょうからは案里被告の法廷で証人として立つ。「まずいもの」の説明は、今度は焦らずに。

  • 前の記事へ
  • 次の記事へ

 あなたにおすすめの記事

天風録の最新記事
一覧