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クマ出没最多

2020/10/29 6:46

 最強の植物というと、何を思い浮かべるだろうか。植物研究家の菅原久夫さんはドングリのなるブナ科の樹木を一番に推す。監修した「だれかに話したくなる あやしい植物図鑑」で、その生き残り戦略を絶賛する▲ドングリは動物の餌になることで種子を運んでもらい生息地を広げる。実りが多ければ、食べ残しも増えて子孫繁栄には有利になる。ただ動物らが増えすぎないよう、実りの少ない年もつくり、森の生態系を支配している―。そんな説を唱えている▲ドングリの豊凶は数年ごとに繰り返すとされるが、ことしは凶作になった。2年続きの地域もあるという。森の動物にとっては生死に関わる一大事だろう。木の実を大好物にしているクマの出没が全国で相次いでいるのもそのためか▲件数は4月からの半年で1万3千件を超え、この5年で最多という。商業施設にも平気で侵入するなど、人里を餌場とするクマが増えているのが心配だ。秋田県では町役場近くの住宅地で高齢女性が襲われ亡くなった▲中国地方でも、東広島市などで初めてクマが捕獲された。人と獣をすみ分ける境界が判然としなくなった。奥山の森へ帰ってもらう最強の戦略はないものか。

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