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【こちら編集局です】「観光PR役 女性多いのなぜ」広島県内 残る慣例、男性遠ざける 「おっさん」奮起の地域も

2020/10/29
女性2人に加え、本年度の広島観光親善大使に選ばれた中上さん(中)

女性2人に加え、本年度の広島観光親善大使に選ばれた中上さん(中)

 「観光大使」「観光アシスタント」と呼ばれるPR役に各地のイベントで出会ったことがある人も多いだろう。広島市の広島観光親善大使には今月、初めて男性が選ばれた。その一方、編集局にはこんな疑問が届いた。「でも、いまだに女性が多いのはなぜでしょう」。広島県内の現状を調べてみた。

【動画】広島観光親善大使が意気込み語る

 サイドを短く刈り上げた「ツーブロック」の髪形にネクタイ姿。広島市内の大学に通う中上匠さん(21)は、本年度の広島観光親善大使だ。今月中旬、市役所であった大使の発表会で「サッカーで培った粘り強さを生かし、広島の魅力を発信したい」と語った。

 広島観光コンベンションビューロー(中区)によると、1947年の開始以降、男性の就任は初めて。2001年に男性に門戸を開いてから、なかなか採用に至らなかった。理由の一つが「応募者に男性が少ないこと」という。中上さんを含む男性44人に対し、1100人を超える女性が「なりたい」と手を挙げてきた。確かに、数で「女性優位」だったのだろう。

 観光PRはかつて「花を添える」役も期待され、多くの地域が女性に限った募集を続けていた。しかし、1999年に性別を制限した募集や採用を禁じる改正男女雇用機会均等法が施行。その後、男性を対象に入れる地域が増えた。

 広島県観光連盟や加盟する観光協会などに尋ねると、公募する13のうち10のPR役が性別を問うていない。ただ、「レディ」「姫」「娘」といった女性に結び付く呼称はいまだに残っている。そうした名前も影響しているのか、男性で採用されたのは、広島の中上さんを含めて5人にとどまる。

 今も対象を女性に限る地域もある。例えば、尾道市のミス尾道(旧ミス菊人形)の対象は、80年の初代から女性だけ。くれマリンクイーン(呉市)、よいとこ娘(庄原市)も同様だ。性別を限定する理由について、各地の担当者は「女性の呼称を使うことが浸透している」「雰囲気が華やぐ」「男性の場合、仕事との両立が難しい」と説明した。

 PR役は女性の方が適しているのだろうか。就任した男性当人にも尋ねてみた。電話で取材を受けてくれたのは、昨年、初の「江田島さくらプリンス」の称号を射止めた筧本語(といもと・かたる)さん(41)。「まだ少数派ですからねえ。『何、この人?』みたいな目で見られることもありますよ」と打ち明ける。

 例えば、スタッフに間違われたり、白いジャケットにちょうネクタイの姿から「マジシャン?」とひそひそ声が聞こえたり。「若い女性が就くというイメージが定着しているからでしょう。男性の応募が少ないのも、そのためかもしれませんね」と話す。

 「でもアラフォーのおっさんの魅力もあります。僕がにこにこしているだけじゃねえ。笑いを呼ぶようなトークや歌で、地元の魅力を発信していきますよ」と張り切っていた。

 プリンスはPR役の固定観念を覆すのかもしれない。県内のある観光協会の担当者も、取材を受けて「思い込みがあった」と話した。「これまでの慣例で、採用は女性しか考えていませんでした。でも、時代の流れは変わってきたし、名前も含めて検討してみます」(小林可奈、木原由維)

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  • 初の江田島さくらプリンスに就任した筧本さん

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