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映画美術監督 部谷京子氏(65)=東京都

2020/11/3 0:00
部谷京子氏

部谷京子氏

作品の世界 緻密に表現

 大学時代に円谷プロダクションの美術助手のアルバイトをしたのをきっかけに美術監督の道を歩んだ。これまでに手掛けた映画は55作品を数える。「さまざまな人と一つの作品を作り上げる撮影現場の雰囲気が大好き。天職です」と笑顔を見せる。

 美術の仕事は映画監督の描きたい世界観を作り上げること。台本を読むと、頭の中に映像ができあがるという。そこから徹底的に調べ、専門家に話を聞き、具現化する。「私が知っていることはほんのわずか。だから毎回作品づくりが勉強です」

 仕事で心掛けているのは、あえて自分の引き出しを持たないことだ。同じ作品は二度とない。だからこそ毎回真っ白な気持ちで新しい台本に向き合う。

 被爆60年の2005年から7年間は、被爆者の話を影絵で紹介する「小さな祈りの影絵展」に取り組み、ヒロシマと向き合った。09年からは「ダマー映画祭inヒロシマ」をスタートさせた。その後「広島国際映画祭」に名称を変え、12回目の開催を今月下旬に控える。

 海外の作家を広島に招き、若手の育成などを目的に開いてきた映画祭。振り返れば映画人たちをつなぐ貴重な場になっていた。「続ける難しさはあるが、それ以上に喜びを皆さんからいただける。それがちょっとしたご褒美ですね」

 新型コロナウイルスによる自粛生活中、観客同士で感動を共有できる映画の力を再認識した。「今だからこそ、映画が生きる力を与えてくれる。私自身、人々の心を動かすようないい作品を作り続けなければ」と決意を新たにする。(里田明美)

 へや・きょうこ 広島市南区生まれ▽1978年、武蔵野美術大卒▽92年、「シコふんじゃった。」で美術監督デビュー▽97年に「Shall we ダンス?」、2008年に「それでもボクはやってない」で日本アカデミー賞最優秀美術賞▽16年、紫綬褒章

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