葛原文化保存会=福山市神辺町
童謡生まれた家 次代へ
地元出身の童謡作詞家葛原しげる(1886〜1961年)と、祖父で琴奏者の葛原勾当(こうとう=1812〜82年)の功績を伝える。役員は当番制で葛原邸を週3回、開放する。地域の交流の拠点として茶屋を運営し、琴や童謡を歌う教室も開く。
保存会は旧神辺町と福山市の合併を控えた2005年11月に設立された。旧神辺町教委教育長も務めた重政義宣会長(83)は「せっかくの神辺の宝。葛原邸を維持管理し、次世代に残すのが使命」と発足の理由を語る。しげるの誕生日や命日には地元住民が集い、秋には月見を楽しむ祭りも催す。
平屋の旧宅は江戸末期、目が不自由だった勾当が設計した。05年に神辺町が、14年には福山市が改修。月に2回、保存会の会員が集まって掃除し、管理している。毎週水曜に開く茶屋ではコーヒーや軽食を提供する。
北川佳代子事務局長(75)は「ここに来れば誰かと話せる、ボランティアができる。『年を取っても役に立てる』と思える場が身近にあることが大切」と語る。
1954年度の第11回中国文化賞を受けた葛原しげるは至誠高等女学校(現戸手高)の校長などを務め、「夕日」「とんび」などの童謡だけでなく、全国約400校の校歌を作詞した。保存会はしげる作詞の校歌の音源のデジタル化を進め、葛原邸では広島県内の30校の校歌が流れる。
「子どもの歌が響く地域のたまり場としてあり続けたい」と重政会長。未来に残していきたいのは、葛原邸だけではない。童謡の世界そのままの古里の景色でもある。(滝尾明日香)
くずはらぶんかほぞんかい 箏曲家葛原勾当と、その孫で童謡作詞家葛原しげるの功績を受け継いでいくため、2005年11月に発足。福山市神辺町八尋にある築175年の葛原邸の維持管理に取り組み、同所で教室や祭りを開く。会員は約350人。
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