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危険な男

2020/11/5 6:00

 片思いの手紙を30通以上送り続けたという話を聞いたことがある。情熱や粘り強さを自慢したかったらしい。今ならストーカー扱いされても不思議ではない▲「男なら諦めちゃ駄目」と思い込み、断られてもやめられなかった―。同僚女性に付きまとい、ストーカー規制法違反で有罪になった男性の声が本紙に紹介されていた。驚くのは付きまといの認識が彼になかったこと▲専門家によれば、加害者は執着心や支配欲が強くて、相手の気持ちを察せないことが多いそうだ。規制法が施行されて20年。警察は近年、加害者に医療機関での治療を働き掛けている。「認知のゆがみ」とも言われる思考の癖を直すことで再犯を防げるという▲「ゆがみ」はストーカーに限るまい。デートの誘いを断られた途端、相手を口汚くののしる一国の長もいる。トランプ米大統領のめいが著した「世界で最も危険な男」を読んで仰天した▲臨床心理士でもある著者は家族史や生育歴をたどり、トランプ氏が育まれた背景に迫る。父親がきょうだいを競わせ、敗者を容赦なくおとしめることで従えてきたと。そんな手法をまねて権力を握る「危険な男」に、世界はいつまで振り回されるのか。

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