コラム・連載・特集

【月刊E・11月号】ワクチン代わりに原爆展を

2020/11/9 7:00

 前回のテーマ「ノーベル賞と学術会議と地層処分」がごく一部で好評だったので、図に乗って今月号も、最新ニュースに絡む三題話とさせていただく。「米大統領選と核禁条約発効とワクチン」だ。

 いきなり内輪話で恐縮だが、私たちの大先輩で論説主幹などを務めた故金井利博氏は1964年、世に問い掛けた。「原爆は威力で知られたか。人間的悲惨として知られたか」

 核兵器を持ちたがり、核抑止論を信奉し、発効が迫った核兵器禁止条約になお背を向け続けるのは、まさに原爆を威力として知る人たちだと言っていいだろう。

 一方、きのこ雲の下のあまりの悲惨さを体験した人、そして被爆者の声に誠実に向き合う人たちは、広島、長崎を決して繰り返してはならぬと誓う。その願いが結実したのが、この核禁条約にほかならない。

 物事には両面があり、そのどちらから見るかだとしても、この違いは相当に大きい。そして私たち被爆地の報道機関は常に「人間的悲惨」の立場なのだが、その実態がどれほど世界に伝わっているのか、核軍縮より核拡散ばかり進む現状に脱力感を覚えることもしばしばだ。

 さて、気を取り直して米大統領選である。
(ここまで 481文字/記事全文 1598文字)

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