消えた?敗北宣言
2020/11/10 6:39
敗者が勝者に電話して「おめでとう」と伝え、続いて支持者を前に潔く「負けました」。そんな米大統領選の伝統は、ここで途切れてしまうのだろうか。現職トランプ氏が敗北宣言を拒んだまま時が過ぎていく▲やむなしとばかりに、当確のバイデン氏が先に勝利宣言した。「分断ではなく融和を目指す」「米国は赤い州も青い州もなく、合衆国なのだ」。戦い終われば恨みも水に流してとは、まず負けた方が口にすべきだろう▲その新大統領とともに長い選挙戦を走り終えたカマラ・ハリス氏のスピーチも歯切れよかった。「皆さんは希望、結束、良識、科学、そして真実を選び取った」。この五つの言葉に現職はさて何を思ったか▲女性として、黒人として、南アジア系移民2世として、ハリス氏の副大統領就任は初ものずくめ。4年前のヒラリー・クリントン氏が破れなかった最後の「ガラスの天井」はすぐそこに▲敗北宣言は歴史に残る名演説も生む。「あなたは価値のある存在で、力強く、あなたの夢を追い求めるに値する。そのことを、決して疑わないで」とは前回、少女たちに語り掛けたクリントン氏だ。心を打つトランプ氏のスピーチを聞きたいものだが…。
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