【激震 元法相夫妻公判】案里被告、広島県市議の証言と食い違い 「記憶ない」連発
昨夏の参院選広島選挙区の大規模買収事件で公選法違反罪に問われた河井案里被告(47)=参院広島=の被告人質問が17日に東京地裁であり、弁護側と検察側の双方が広島県議らに渡された現金の趣旨などをただした。案里被告は買収目的を否定し、一部は「知らない」と主張。買収の趣旨だったと認めた県議らの証言とは食い違っている。
午前中は弁護側が質問した。案里被告は元県議会議長の奥原信也県議(78)=呉市=に渡した50万円に関し「県議選の当選のお祝いで、これまでご指導頂いたお礼。重鎮なので金額を多くした」と説明。案里被告の秘書が案里被告の了承を得て10万円を渡したとされる胡子雅信江田島市議(50)については「面識はあったが親密な関係ではない。(現金提供は)全く寝耳に水」と関与を否認した。
13日にあった弁護側の質問でも、岡崎哲夫(65)=府中市・神石郡▽平本徹(55)=安芸郡▽下原康充(69)=東広島市―の県議3人に渡した現金について「当選祝いだった」などと買収目的を否定した。
一方で、この県議ら5人は9、10月にあった公判に検察側の証人として出廷し「投票の取りまとめや知人への投票依頼と思った」などと証言。買収意図のある現金だったと認めている。
午後から質問に立った検察側は、案里被告が奥原県議や下原県議たちに参院選の応援依頼をしていたとして、現金を渡す際のやりとりなどについて重ねてただした。案里被告からは「記憶にありません」「思い出すことができません」との返答も目立った。
先輩や後輩県議への当選祝いや陣中見舞いを渡したと訴える案里被告。検察側は、案里被告が所属していた県議会の自民党系会派の「オーナー的存在」だった桧山俊宏県議や、別の後輩県議に現金を提供しなかった理由を追及した。案里被告は「桧山先生は親のような存在で格が違う。現金を差し上げるのは失礼」と強調。後輩県議には「あげたかもしれないが、分からない」などと言葉を濁した。
検察側は、案里被告の陣営の責任者とされる夫の克行被告(57)=衆院広島3区=の役割も確認。案里被告は「記憶が曖昧。ずっと外にいて分からない」「はっきりとは申し上げられない」などと述べる場面もあった。
次回の20日も検察側の被告人質問がある。
詳報・案里被告第26回公判
▼弁護側被告人質問
奥原信也広島県議への現金提供 秘書が封筒をぐっと前に押し出した
胡子雅信江田島市議への現金提供 胡子さんと親密な関係ではない
安井裕典広島県議への現金差し出し そんなお金じゃないと心外だった
提供した現金の原資 たんす預金から使った
▼検察側被告人質問
<1>事務所のことはよく分からない。自分のことで精いっぱい
<2>有権者のもとに向かうことが最も大事
<3>桧山先生は格が違う、差し上げるのは失礼
<4>(「あれなかったことでいいよね」と言った)記憶はない
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