
「たとえ合法でも疑問」 「溝手氏、奥原県議へ50万円」読者100人超から反響【決別 金権政治】
▽金がもの言う世界か/抜け道ない法律を
昨夏の参院選広島選挙区に自民党公認で立候補して落選した溝手顕正氏(78)の自民党支部が参院選の1カ月前、元広島県議会議長の奥原信也県議(78)=呉市=に50万円を交付していた。無料通信アプリLINE(ライン)で意見や情報を募ると、100人超から反響があった。買収と受け取られかねない金銭のやりとりに不信の声が相次ぎ、法律の見直しを求める意見も続いた。
同選挙区を巡っては、自民党の新人として初当選した河井案里被告(47)と夫の克行被告(57)=衆院広島3区=が地方議員らを買収したとして公選法違反罪で公判中。奥原県議は両被告側からも計200万を受け取っており、溝手、案里の両候補者側から金銭提供を受けていた。いずれも買収目的のお金と認めている。
「『ブルータス、おまえもか』という気持ちになった。結局政治はお金がものを言う世界なんだと再認識させられた」と、広島市西区の男性(61)は憤る。安佐南区のパート従業員女性(58)は「選挙活動にお金がかかると言われるのは、このような交付金に大金が使われているからではないか」との見方を示した。
▽受領側にも批判
政治資金規正法は、政党支部を含めた政治団体間の資金提供を認めている。一方、公選法は、候補者を当選させるために選挙区内の有権者や選挙運動者に金銭を提供する行為を買収として禁じている。
「党支部間の交付金であり、法的に問題はない」と説明する溝手氏側に対し、広島県海田町の自営業多田雄一さん(71)は「たとえ合法であっても、提供した時期といい、疑問が残る」。東広島市の会社員男性(49)は「法的に問題なければ良いのだろうか。選挙以外にも日常的にお金が動いているのでは」とみる。
双方から資金を受け取った奥原県議にも批判が相次ぐ。「政治不信になる。襟を正してほしい」と呉市の佐々木勇二さん(70)。尾道市の主婦広畑紀子さん(70)は「受け取った側にも甘さがある。県民に選ばれている自覚がない」と嘆く。
▽どちらがうそを
溝手氏側が「奥原県議から資金提供を要求された」、奥原県議が「一方的に振り込まれた」と説明し、両者の言い分は食い違う。廿日市市の河村待子さん(69)は「どちらがうそをついているのか。はっきりさせてほしい」と求めた。
厳格な法整備や制度改善を求める声も複数あった。広島市佐伯区の佐々木俊彦さん(65)は「いかなる名目であっても政治家同士の金銭のやりとりを禁止するよう法改正すべきだ」。尾道市の自営業杉田真一さん(66)は「金権政治は、法整備と抜け道のいたちごっこ。選挙を受ける側の国会議員ではなく国民が提案する方法で、抜け道や解釈の違いがないものにする必要がある」と提案する。
また、中国地方で広島県だけが政治資金収支報告書をインターネット上で全面公開していないことに関し、全国一律で公開を求める意見も寄せられた。(「決別 金権政治」取材班)
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