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燃料革命

2020/12/6 7:02

 ひと窯焼いて22円、月に66円。先生の初任給が30円。炭焼きも捨てたもんじゃない―。中国山地で炭作りが盛んだった昭和初めのエピソードだ。本紙の連載にあった。薪(まき)や炭が家庭燃料だった時代。確実に売れ、米より稼ぎが多かった村も珍しくなかったそうだ▲そんな里山の暮らしが一変したのは高度成長期のこと。ガスの普及で木炭の需要が激減。なりわいを失った人は仕事を求めて街へ。数年で人口が半減した集落も少なくない。燃料革命が過疎という言葉を生む引き金に▲今度の転換はどんな変化をもたらすだろうか。政府が地球温暖化対策として、ガソリン車の新車販売を2030年代半ばに禁止する方針を固めた。自動車の電動化を加速し、二酸化炭素の排出削減につなげる▲脱ガソリン車は世界の潮流だ。英国は30年までに、中国は35年までに販売を禁止する。今年動きだしたパリ協定は、産業革命からの平均気温の上昇を2度未満に抑える目標を掲げる。達成できないと、日本の猛暑日は倍以上に増えるとの予測もある▲国内の自動車産業の対応は待ったなしである。中国地方も人ごとでは済まされぬ。置き去りにされれば、新たな「過疎」を招きかねない。

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