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いにしえの「ウィズウイルス」

2020/12/8 6:43

 日本列島が大陸と地続きだった約3万年前、私たちの祖先の体にヘルペスウイルスが入り込んだらしい。理化学研究所がこの9月に発表した研究成果によると、日本人200人に1人の遺伝子に、その痕跡が組み込まれているという。まるで化石のように▲とすれば、今年の流行語「ウィズコロナ」も何ということはない。はるか太古から「ウィズウイルス」の時代は既に始まっていたのだ。私たちがそれを、好むと好まざるとにかかわらず▲翼を持たないウイルスが勢力を広げようとするとき、人類よりも都合のいい宿主がいる。その渡り鳥が運ぶとみられる鳥インフルエンザのウイルスが秋以降、西日本各地へ。とうとう三原市の養鶏場にも入り込んだ▲コロナ禍により夏場の卵の需要は落ち込んでいたと聞く。そこに感染拡大防止のためとはいえ、鶏が全て処分される。関係者の心痛はいかばかりだろう。心よりお見舞いを申し上げたい▲理研の発表には気になるくだりも。ヒト遺伝子に組み込まれた化石ウイルスの中には、何かの拍子で再び活性化したり、逆に新たな感染を防ぐ因子として働いたりするものがあるらしい。「共に生きる」奥深さを思い知らされる。 

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