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災いを転じてウニとなす

2020/12/10 6:52

 本紙セレクトで先週、奇妙な名前の品を見掛けた。〈キャベツウニ〉。ホウレンソウにウニを載せる広島発祥の鉄板料理の類いではない。とげのある、紛れもないウニの新顔だ▲ウニは海藻を好む。幼魚のゆりかごである藻場に群がれば、「磯焼け」をもたらす。代わりとなる餌は…。神奈川県の水産技術センターが試しにキャベツを与えたところ、これが大当たり。飽きずにむさぼり食う。味わいも磯の香や苦味こそ薄らいだものの、甘味が増したと聞く▲そうと分かれば、こっちのものだろう。取れすぎや規格外でだぶつく野菜は少なくない。それを餌に、ウニを捕獲して養殖すれば一挙両得だ。海の環境を守れて、食品ロスも減らせる。おまけに、ひと味違う売り物に恵まれそう▲九州大大学院の研究者は、タケノコに目を付けたと聞く。こちらも食い付きが良く、味も「甘くてコクがある」という。山口や島根は、都道府県別の竹林面積で5位に入る。厄介な竹林が資源へと変わるかもしれない▲瀬戸内沿岸のかんきつ産地では、傷んだ果実や皮を養殖の餌に回した「フルーツ魚」というのもある。発想の転換。今回も「災いを転じてウニとなす」といくといい。

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