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テレコーラスの「歓喜の歌」

2020/12/15 6:48

 ♪晴れたる青空ただよう雲よ/小鳥は歌えり林に森に…。多くの戦後世代はベートーベンの「第九」を、小学校の教科書に載った岩佐東一郎氏の訳詞で覚えたはずだ。音楽教室に掲げられた「楽聖」のしかめっ面に見守られながら▲いや、オリジナルのドイツ語で存分に歌い上げなければ、年は越せない。「第九」がすっかり歳末の風物詩となったわが国のあちこちで、そんな市民合唱団が力強い歌声を響かせてきた▲コロナ禍の今年は、ひと味もふた味も違うハーモニーとなりそう。広島市内で次の日曜、広響とソリストによるコンサートが無聴衆で開かれる。オンラインで配信されるその調べを聴きながら、各自が歌う。テレワークならぬテレコーラスとの趣向だ▲ドイツの詩人シラーはこの「歓喜の歌」で、友と連帯し魂を通じ合わせる喜びを詠んだ。あすで生誕250年のベートーベンがそこに、長く歌い継がれる旋律を乗せた。コロナ禍だからこそ、皆と声を合わせたくなる▲なかにし礼氏による別の訳もあり、こちらも歌いやすい。♪愛こそ歓喜にみちびく光/さえぎる苦難を越えて進まん/歓喜のいただき踏みしめたとき/われらはきょうだい世界は一つ―。 

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