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誤解を招く意味において?

2020/12/19 6:39

 議論好きの作家より、聞き上手な俳人と差しで杯を傾ける。そんな例えだろうか。カフカ去れ一茶は来れおでん酒(加藤楸邨=しゅうそん)。コロナの出現以来、止まり木では「密」を避けて長居せず。いや、それさえご法度、というご同輩もいよう▲ところが、8人ほどの著名人が高級ステーキ店に集い、首相も顔を出していたから驚く。しかも、GoToトラベルの一時停止を決めた14日の夜の会食である。1日置いて「国民の誤解を招く意味においては真摯(しんし)に反省している」と首相は述べたが▲え、私たち何か誤解したの―。作家や俳優たちがこう「つぶやき」を発し、事は収まらない▲そもそも「5人以上」の会食はリスクが高いと専門家は指摘してきた。だが、首相周辺は8人ほどのステーキ会食をルール違反とは認めたくない。何か証拠があって5人以上と言っているのではない、と火消しに躍起になった。そこで「国民の誤解」といった言い回しも出てくるのだろう。これを弥縫(びほう)策と呼ぶ▲内閣支持率は急落し、「桜を見る会」夕食会の疑惑を巡っては前首相の国会招致へと急転している。急流のごとき世なれどおでん酒(百合山羽公=ゆりやま・うこう)。政治家諸氏には、この句を送る。

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