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だしは引くもの、風邪は防ぐもの

2020/12/22 6:36

 だしは「取る」のではなく「引く」ものだと、京都の料理人に教わったことがある。昆布やかつお節のうま味を引き出すとの意味合いらしい。それに上品なだしは、食材が持つ本来の味を存分に引き立ててくれる▲「煮る」と「炊く」の違いについては、うかつにも聞きそびれた。いずれにせよ、引いただしで煮たカボチャを、京風に「ナンキンの炊いたん」と言って出されると、それだけで、いただく前からわが舌は喜んでいる▲煮ようが炊こうが、焼いても揚げても、どう調理してもカボチャはおいしい。スープやお菓子になると、さりげない甘さにほっとする。舌だけでなく体全体が喜ぶ気がするのは、ビタミン類を豊富に含むためだろうか▲風邪は「ひく」のではなく「防ぐ」ものだと、昔の人が教えてくれる。冬至のきのう、皆さんもユズ湯につかり、カボチャの滋味を堪能されたことだろう。風邪だけでなく、新型コロナウイルスも退散してほしいもの▲年は「取る」のであって「引く」ことはかなわない。あまりに急な感染拡大に、戸惑うことばかりの年の瀬でもある。それでも新しい年を前向きに迎えたい。これから一日一日と、明るい昼が長くなっていく。 

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