コラム・連載・特集

使用済み核燃料 「サイクル」断念が先だ

2020/12/28 7:03

 青森県むつ市にある使用済み核燃料の中間貯蔵施設を、電力会社が共同利用することを検討するという。大手10社でつくる電気事業連合会(電事連)が明らかにした。

 狙いは、関西電力の救済のようだ。原発内の保管場所が逼迫(ひっぱく)しており、今後5〜9年で満杯になる見込みだ。しかも関電の原発の多くが立地する福井県から、県内の原発を再稼働させる条件として「県外での保管場所確保」を求められている。

 関電は、2018年には福井県外への搬出候補地を示すと表明していたが、見つからないまま。むつ市内の貯蔵施設を使えるようになれば、再稼働の道が開けるというわけだ。しかし思惑通り進むか分からない。何より地元が反対しているからだ。

 2年前、関電がこの貯蔵施設の運営会社への出資と共同利用を検討していることが発覚した。「寝耳に水」のむつ市が猛反発し、その時は頓挫した。運営会社は、東京電力と日本原子力発電の共同出資で設立。この2社の使用済み核燃料だけを想定した施設だから、地元にとっては裏切りにも取れよう。

 にもかかわらず今回も、むつ市には何の相談もなかったという。これでは、反発をあおるだけではないか。

 貯蔵施設が稼働すれば、使用済み核燃料を最長50年間保管して、その後、再処理工場に搬出する予定だ。しかし受け入れ先となる再処理工場の新設計画は具体化しておらず、搬出先は未定だ。なし崩し的に置き去りにされかねない。

 そもそも、中間貯蔵の前提となる「核燃料サイクル」は破綻している。使用済み核燃料の再処理で取り出したプルトニウムを高速増殖炉で燃やせば、プルトニウムが増える―と吹聴されていた。化石燃料などの資源に乏しい日本にとっては、「夢」のような計画だった。

 しかし、要となる高速増殖炉もんじゅは、ナトリウム漏れ事故を起こすなどトラブルが相次ぎ、廃炉に追い込まれた。なぜ国はこの時、すっぱりサイクルと決別しなかったのか。

 代わりに、既存の原発でプルトニウムも燃やす「プルサーマル」を打ち出したが、導入は4基にとどまっている。電事連は今月、導入目標を「2030年度までに少なくとも12基」に引き下げざるを得なくなった。

 プルサーマル向けのプルトニウム・ウラン混合酸化物(MOX)燃料の加工工場は、完成が計画より10年以上遅れている。建設費が当初予定の3倍を超す約3900億円となるなど、コストも重くのしかかる。

 しかも、使用済みのMOX燃料が既に増えつつあるのに、それを再処理できる施設は、国内にはない。国は新たな工場などの具体的な事業計画さえ示してはいない。無責任極まる。

 高レベル放射性廃棄物(核のごみ)を最終処分する候補地選びも先行き不透明だ。第1段階となる文献調査に、多額の交付金などにつられて北海道の2町村が初めて名乗りを上げた。しかし住民や周辺自治体の反対というハードルが予想される。

 ほころびだらけの核燃料サイクルは壮大な夢だったと言える。国は再処理を諦めて、サイクル断念をはっきり宣言すべきだ。再生エネルギーの拡充にこそ、力を注ぐ必要がある。

  • 前の記事へ
  • 次の記事へ

 あなたにおすすめの記事

社説の最新記事
一覧