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紅白歌合戦の力

2020/12/28 7:03

 年の瀬が押し迫った。在宅勤務の友となったラジオから「今年最後の放送…」と聞こえてくる。ピアニスト小原(おばら)孝さんが弾くFMのリクエスト番組も先週でお休みに。最後の一曲に選んだのは中島みゆきさんの「時代」だった▲歌のない、演奏だけのメロディーに耳を澄ましていると、含蓄のある歌詞が胸をよぎる。♪そんな時代もあったねと―。残念ながら、まだ過去形で語れない。コロナ禍狂騒曲は年を越す▲大みそか恒例の紅白歌合戦からは今回、どんな時代の気分が読み取れるだろう。そうそうたる面々が、今年の世相を映す「この一曲」を持ち寄る▲白組のトリに指名を受けた福山雅治さんは「家族になろうよ」。東日本大震災が起きた年の紅白でも弾き語りを聞かせてくれた。入魂の選曲に違いない。特別企画での出場が決まった松任谷由実さんは「守ってあげたい」。リフレインの歌詞を追うだけで涙腺が緩んでくる。♪あなたを苦しめる全てのことから▲他にも選曲リストには、メッセージらしき言葉が見える。〈うちで〉〈やさしさ〉〈前向き〉〈LOVE〉〈雨のち晴〉。滋味に富んだ歌詞に聞き入り、紅白の力をかみしめる一夜となるかもしれない。 

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