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コロナ特措法 実効性高める改正急げ

2020/12/30 6:46

 政府がようやく重い腰を上げる。全国知事会が今春から要望していた新型コロナ特別措置法の改正である。現状では緊急事態が宣言されても、知事は事業者に休業や営業時間短縮の「お願い」しかできない。強制力がないからだ。

 協力してくれた店や企業に対する補償や支援のための給付金もない。これでは、要請に応じようとしない事業者が今年4、5月に相次いだのも仕方なかろう。そのままでは、どれだけ効果があるか、疑わしい。

 政府は法改正で給付金の制度化を目指す。感染拡大地域での飲食店対策の実効性を高めるのが狙いという。新型コロナ感染症対策分科会で早急に検討を進め、改正案を1月18日召集の通常国会に提出する考えだ。

 先の臨時国会では、野党が一足先に改正案を出した。国会を延長してでも、論議すべきだった。しかし政府は「感染が収束した後に課題を検証する」との従来の姿勢を変えなかった。

 今回の唐突な方針転換は、政府批判の高まりに対する焦りがあるようだ。春は緊急事態宣言で乗り切った。夏の第2波は、観光支援事業「Go To トラベル」からの東京都除外や、国民の抑制的な行動などで爆発的拡大には至らなかった。

 しかし時間はあったはずなのに、冬に向けた備えは進まなかった。法改正に加え、PCR検査や、医療現場、保健所などの態勢強化は不十分だった。

 結果的にGoTo事業への東京都追加で感染を全国に広げてしまったのではないか。現下の第3波、とりわけ「勝負の3週間」と位置付けた今月中旬までは、無策も同然だったと言えよう。広島、岡山両県では首都圏や近畿圏並みに感染が広がる事態に陥った。医療現場の逼迫(ひっぱく)は深刻さを増している。

 今月上旬の世論調査では、政府の対策を「評価しない」が55・5%に達した。そんな国民の厳しい視線が、突然の方針転換につながったに違いない。しかし危機感の乏しさの表れか、遅すぎる。猛省が求められる。

 気になるのは、要請に応じない事業者への罰則規定を盛り込むかどうか、である。菅義偉首相は「給付金とセットにしてやれば、より実効性ができるとの思いがある」と先週の会見で、前向きな考えを示した。

 しかし罰則は、営業の自由など私権の制限になることを忘れてはならない。憲法との整合性を含めて、丁寧な議論が求められる。今の特措法は、国民の自由と権利への制限は「必要最小限のものでなければならない」と定めている。その枠組みを大きく逸脱するようなことになれば、国民の理解は得られまい。

 現場に近い知事の権限強化も必要だろう。例えば、緊急事態の宣言や解除を国に要請できる権限を持たせることなどだ。地域主権への試金石でもある。

 医療や介護現場は、差別や偏見に苦しめられ続けている。防止策の具体化も急ぎたい。

 国会の役割も問われている。感染死する現職議員が初めて出たばかり。議員はみな、国民の模範となるべき立場を改めて自覚して、感染防止対策に一層力を入れなければならない。

 そのためにも、通常国会で迅速に法改正する必要がある。論点整理や与野党間の調整は正月返上で進めてもらいたい。 

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