コラム・連載・特集

見掛けなくなった胃薬のCM

2020/12/30 6:46

 テレビを眺めていて、ふと気になった。胃薬のCMを見掛けた覚えがない。例年なら今ごろは、連日連夜の忘年会で胃腸が音を上げているはず。コロナ禍第3波で、繰り出す人波が引いたせいだろうか▲師走のうたげは、またとない時間である。つかの間とはいえ浮世のあれこれを忘れさせてくれる。心の折り目、節目を重んじるこの社会にとって、風物詩以上ともいえる時間を奪われた▲中四国随一の歓楽街が広がる広島市中心部にはきのう、広島県のお触れが回った。酒を出す営業時間の短縮を2週間延ばしてもらいたい、と。さてさて新年会までもが、風前のともしびである▲来年に持ち越された東京五輪とパラリンピックのともしびも気になる。そもそもコロナ感染の幕切れまで残り何幕なのか、世界中の誰も知らない。それに前首相の負の遺産といえる「モリ・カケ・桜」に元法相夫妻や元農相を巡る「政治とカネ」の疑惑など、宿題が山積みである▲異例の15カ月予算を組んだ菅義偉首相が「切れ目なし」と胸を張っている。だが、浮上した疑惑の数々は「けじめなし」では困る。苦い胃薬を含んだような首相の面差しが、いつか晴れる日がくるのだろうか。

  • 前の記事へ
  • 次の記事へ

 あなたにおすすめの記事

天風録の最新記事
一覧