コラム・連載・特集

「決別 金権政治」への道

2021/1/1 6:00

 年の瀬に、ドイツでは「良い滑りを」とあいさつするそうだ。新年にうまく滑り込もう―といった意味らしく、滑る→転ぶ、と連想する日本とは違うという。かの国に長年暮らす作家多和田(たわだ)葉子さん著「言葉と歩く日記」に教わる▲受験生諸君は気になるだろう。多和田さんもそう考えたが、「良い旅を」から転じた言葉だと知って気持ちが楽になった。滑っても転ぶとは限らない。同じ読みの「統べる」立場にある人たちも転んでほしくなかった▲昨年は元法相夫妻による大規模買収事件で広島政界が揺れた。法廷で明るみに出た「もらった側」の言い分が情けない▲国の補助を受ける地方にすれば「国会議員は邪魔をすることもできる」。市議選で応援を受けたから「恩返しをしなくては」。これまで取材に応じなかったのは「検察に慎むように言われ」。どこを向いて仕事をしているの、としか言いようがない▲「政治は腹だ」という言い回しに腹が立つと、戦後政界の直言居士白洲(しらす)次郎は言った。腹芸では日本の再生などおぼつかない、と。今年も本紙は「決別 金権政治」のシリーズを続ける。腹を割った法廷の証言が、広島政界再生の良い滑りになることを願う。

  • 前の記事へ
  • 次の記事へ

 あなたにおすすめの記事

天風録の最新記事
一覧